バックナンバー一覧 >> 2014 Vol.26 No.6 >> 特集 |
NTT物性科学基礎研究所では、量子光物性研究部を中心に、光が持っている量子力学的な性質を利用した、新しい概念に基づく情報通信処理の基礎研究を進めている。本特集では、光の量子状態の制御と、それを支える光と物質との相互作用に関する研究の最新の取り組みを紹介する。 |
量子光学研究が拓く未来の光量子情報技術
NTT物性科学基礎研究所では、量子光物性研究部を中心に、光が持っている量子力学的な性質を利用した、新しい概念に基づく情報通信処理の基礎研究を進めています。それは、将来の情報セキュリティの問題を解決したり、現在のコンピュータでは扱うことの難しい問題の答えを出したり、少しずつ片鱗をみせるようになってきた新しい技術の数々です。本特集では、光の量子状態の制御と、それを支える光と物質との相互作用に関する研究の最新の取り組みを紹介します。 |
結合共振器光導波路を用いた光量子情報デバイス
光子を用いたスケーラブルな量子情報処理を実現するために、量子回路の小さなチップ上への集積化が有効であると考えられています。本稿ではシリコンフォトニック結晶技術を用いた集積光量子情報デバイスの実現に向けたNTTの取り組みについて紹介します。 |
光ファイバ中での量子もつれ光子対の300km伝送実験
量子暗号による秘匿通信の長距離化には、量子もつれ状態にある光子対を遠く離れた拠点間へ配送することが重要です。本稿では、光ファイバ中での量子もつれ光子対の長距離配送実験と、量子通信の長距離化に向けたNTTの取り組みを紹介します。 |
量子情報操作プラットフォームとしての希土類単結晶
希土類原子は固体中でその元素固有のエネルギー位置に離散的な量子準位を形成し、量子情報操作のための優れたプラットフォーム材料となることが期待されています。本稿では通信波長帯光子との相互作用が可能な、高品質酸化エルビウム単結晶薄膜のシリコン基板上への作製とその特有の光学物性を紹介します。 |
Er3+イオンの精密分光で探るガラスの物性
私たちは1.5μm光通信波長帯における光書き込み量子メモリへの応用を目指して、シリカガラス光ファイバ中にドープされた167エルビウムイオン(167Er3+)の超微細構造準位の利用可能性を検討しています。167Er3+イオンの準位の安定性(寿命)がメモリ時間を決定するので、寿命に関する詳細な情報が必要となります。本稿では、超微細構造準位の寿命を測定しているときに、私たちが偶然に発見した寿命の異常な温度依存性と、それをもたらすガラスの物性について紹介します。 |
永久電流アトムチップによるボース・アインシュタイン凝縮
量子力学の特異な性質を利用して、従来技術を凌駕するデバイスを目指した「超伝導永久電流アトムチップ」を用いて、私たちは原子の巨視的な量子状態を実現することに成功しました。本稿では当初の予測に反する超伝導アトムチップの奇妙な振る舞いに悩まされながらも、幾多の問題を克服し、極めて安定なボース・アインシュタイン凝縮をチップ上で実現した技術について紹介します。 |
□主役登場 |
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