バックナンバー一覧 >> 2015 Vol.27 No.3 >> 特集 |
NTT未来ねっと研究所では、東日本大震災を契機にICT環境の耐災害性強化に資する「移動式ICTユニット」の研究開発を立上げ、2012年より2年間にわたり推進してきた。本特集では、実現した移動式ICTユニット方式の全体像、主要適用技術、アプリケーション、および社会実装に向けた取り組みについて紹介する。 |
移動式ICTユニット方式の全体概要
2011年の東日本大震災では、電話をはじめとするICTサービスを利用できない期間、場所が相当数発生し、社会問題化しました。NTT未来ねっと研究所は、この問題の解決につながる方式として移動式ICTユニット方式を新たに提案しました。提案方式は、ICTサービス提供に必要なリソースを可搬型のユニットに収容し、被災地へいち早く展開することでサービスの即時提供を可能とするものです。本稿では、提案方式の全体概要、その実現に向けた研究開発プロジェクトを紹介します。 |
移動式ICTユニットの無線アクセスネットワーク構成技術
NTT未来ねっと研究所では、大規模災害時にICT環境の即時回復を可能にする移動式ICTユニットの研究開発に取り組んでいます。本稿では、M2M無線アクセスを制御網として活用し、移動式ICTユニットの周囲の無線LANアクセスポイントを中継接続して無線アクセスネットワークを迅速かつ柔軟に構築する無線アクセスネットワーク構成技術について紹介します。 |
高速光接続技術
被災地に移動式ICTユニットを設置し、ユニット周辺で被災者どうしの通信を確立するなど、局所的に情報通信サービスを開始した後、次に被災地で要望されるのは被災地外との通信と考えられます。NTT未来ねっと研究所では、被災を免れた地下光ファイバケーブルの両端にデジタルコヒーレント方式の100Gbit/s光送受信機をつなぎ、移動式ICTユニットと被災地外の広域・基幹ネットワークとの接続を確立することを提案しています。 |
移動式ICTユニットのメディアストレージ技術
NTT未来ねっと研究所では、大規模災害時にICT環境の即時回復を可能にする移動式ICTユニットの研究開発に取り組んでいます。本稿では、震災時のリソースが限定された環境で、テキスト、画像・映像などのアプリケーション情報を閲覧・共有する移動式ICTユニットのメディアストレージ技術について紹介します。 |
移動式ICTユニットのICTサービス提供技術
NTT未来ねっと研究所では、大規模災害時にICT環境の即時回復を可能にする移動式ICTユニットの研究開発に取り組んでいます。本稿では、移動式ICTユニットの研究開発において、災害時に役立つICTサービスとして開発した被災地での通話手段を即時復旧させる災害用IP-PBX(Internet Protocol-based Private Branch eXchange)と、被災者の安否情報収集を迅速化する被災者データ収集システムについて紹介します。 |
移動式ICTユニットのグローバル展開——フィリピンにおける国連プロジェクトと標準化活動
2013年11月にフィリピンを襲った巨大台風ハイヤンにより、セブ島San Remigio市付近のネットワークが壊滅的な被害を受けました。本稿では、ITU・日本政府・フィリピン政府の3者およびNTTグループを含む日比のパートナが互いに協力してSan Remigio市にICTユニットを設置・実証実験に着手した模様と、ICTユニットの標準化に向けた取り組みを紹介します。 |
□主役登場 |
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近年の大規模災害の多発に伴い、いかに災害・危機対応能力を高めて災害から住民を守るかが社会的な課題となっている。本特集では、NTTグループ各社の防災ソリューションについて紹介する。 |
NTTグループの防災・危機管理ソリューション
近年の大規模災害の多発に伴い、いかに災害・危機対応能力を高めて災害から住民を守るかが社会的な課題となっています。NTTグループでは長年の通信事業で培ったノウハウを活かした防災・危機管理ソリューションを提供することにより、ICTを通じた社会課題の解決に取り組んでいます。本稿では、NTTグループの防災ソリューション戦略、およびその普及拡大に向けた取り組みを紹介します。 |
建物安全度判定サポートシステム「揺れモニ」
NTTファシリティーズでは、地震発生時の建物継続使用に関する不安を解消する建物安全度判定サポートシステム「揺れモニ」を開発しました。地震直後、即座に建物の安全度を判定し、その結果をコメントで表示、安全性の把握と適切な避難対応へと導きます。また、後日実施する構造体などの点検・調査項目を的確に判断し、調査費用・調査期間の縮減を実現します。 |
地震防災訓練アプリ
「ブィッブィッブィッ 地震です!」という音を携帯電話で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。この音は、緊急速報「エリアメール」(緊急地震速報)を受信したときの専用ブザー音です。緊急地震速報は震度5弱以上の強い揺れが予想されるときに気象庁から発表されます。そのため、日頃から専用ブザー音を聞いたときの行動を訓練しておくことが、生命を守るうえで重要なポイントとなります。そこで、NTTドコモでは、エリアメール専用ブザー音きっかけの訓練を実施できる、「地震防災訓練」アプリをリリースしました。本アプリは、自治体や企業、個人の訓練で利用できます。 |
タンジブル災害対策支援システム
NTTコムウェアで開発した「タンジブル災害対策支援システム」は、タンジブル・ユーザ・インタフェース技術を応用し、デジタルペンとデジタルシートなどを利用することで、従来どおりの紙地図感覚で防災意識の向上・災害発生時の迅速な対応を支援します。 |
WebEOCを活用した危機管理情報マネジメント支援システム
NTTグループでは、危機管理室での先を見据えた危機対応を支援するためのシステムの開発を行っています。本稿では、Webを活用した危機管理ソフトウェア「WebEOC」をベースに危機管理情報マネジメントフロー(自治体の災害対応ノウハウ)を具現化し、稼働の大幅な削減と効率的・効果的な危機管理を実現する取り組みについて紹介します。 |
災害情報伝達手段の多様化に向けた国の動きと防災情報伝達制御システム
近年の気象現象の極端化により、災害時における自治体からの迅速な情報伝達が必要不可欠となってきています。さらに、地域住民へより確実に災害情報を伝達するために、複数の伝達手段を活用することが求められています。しかし、災害時に複数の伝達手段への配信操作を個々に対応するのは非常に困難であることから、NTTアドバンステクノロジではさまざまなメディアに対する情報配信を一元化する「防災情報伝達制御システム」を中心とした防災ソリューションを提供しています。 |
衛星通信サービス「ワイドスターU」
NTTドコモの衛星通信サービス「ワイドスターU」は、2010年4 月にサービスを開始しました。ワイドスターUは、赤道上空にある静止衛星を使って日本全土(一部離島を除く)と日本沿岸からおおむね200海里までの海上エリアをカバーしており、携帯電話の電波が届かない山間部、船舶、離島部等における通信手段や非常時における通信手段として利用いただいています。 |
被災者生活再建支援システム——自治体の公正公平で迅速な生活再建支援業務を強力にサポート
2015年1月17日、歴史に残る被害をもたらした阪神・淡路大震災から20年が経ちました。この20年の間にも、新潟県中越地震(2004年)や東日本大震災(2011年)等が起こり、また近年は、地震だけでなく、台風やゲリラ豪雨による被害も深刻化しています。こうした中、NTT東日本では、被災後、住民がいち早く元の生活に戻れるよう、自治体のり災証明書発行、被災者台帳作成・管理業務をサポートする「被災者生活再建支援システム」を提供し、2014年度にはクラウドサービスとして提供を開始しました。 |