特集

グラフェン研究最前線
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炭素原子の二次元シートであるグラフェンが、2004年に初めて実験的に得られて以来、基礎科学から応用まで高い関心を集めている。本特集では、将来のグラフェンの産業応用に向け、基礎物性から合成技 術、応用のための要素技術まで、幅広く研究を行っているNTT物性科学基礎研究所の取り組みを紹介する。


グラフェン研究への取り組み
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◆執筆者 日比野 浩樹
◆所属 NTT物性科学基礎研究所

炭素の二次元シートであるグラフェンが2004年に初めて実験的に発見されて以来、基礎から応用まで爆発的に研究が進展しています。NTT研究所においても、グラフェンの物質・材料科学の見地から情報社会に大きなインパクトを与えることを目指して、理論からデバイスまで幅広く研究を進めています。本特集では、NTT物性科学基礎研究所でのグラフェン研究の現状を紹介します。


グラフェンのディラック方程式とは何か
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◆執筆者 佐々木 健一
◆所属 NTT物性科学基礎研究所

グラフェンは炭素原子のみからなる、蜂の巣状のネットワークです。1原子層の厚みしかないグラフェンは、物質としては、極めてシンプルな構造体ですが、その可能性が認められ、現在世界中で活発に研究が進んでいます。本稿では、グラフェンのユニークな側面をディラック方程式の観点から概観し、グラフェンの特徴をつかむうえでラマン分光が有用であることを説明します。


グラフェン状物質 六方晶窒化ホウ素の簡便な合成法
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◆執筆者 鈴木 哲
◆所属 NTT物性科学基礎研究所

六方晶窒化ホウ素は、グラフェンとよく似た蜂の巣構造を持つ絶縁体材料です。グラフェンと組み合わせることでさまざまな新機能の発現につながることが期待され、その大面積成長法の確立が望まれています。本稿では金属中の原子の拡散現象を利用した、新しく非常に簡便な六方晶窒化ホウ素の合成方法について紹介します。


電気伝導で見るSiC上グラフェンの相対論効果とバンドギャップ
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◆執筆者 高瀬 恵子/田邉 真一
◆所属 NTT物性科学基礎研究所

グラフェンは相対論的量子力学が発現する新規な半導体として注目されています。本研究では、SiCを熱分解して得られる高品質かつ大面積シートのグラフェンから荷電粒子密度を変調できる試料を作製し、電気伝導測定を行うことで、新規な物性・物理現象の解明を目指します。


グラフェン中のプラズモン伝導
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◆執筆者 熊田 倫雄
◆所属 NTT物性科学基礎研究所

グラフェンにおいて、電子の集団運動であるプラズモンの時間分解伝導測定を行いました。その結果、プラズモンの伝搬速度を磁場、電荷密度、ゲートによる遮蔽効果を変化させることにより数1000〜10 km/sまで2桁にわたって制御できることを明らかにしました。


SiC上グラフェンの表面増強ラマン散乱
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◆執筆者 関根 佳明+1/日比野 浩樹+1/小栗 克也+1/赤崎 達志+1/影島 博之+1/永瀬 雅夫+2/佐々木 健一+1/山口 浩司+1
◆所属 +1 NTT物性科学基礎研究所
+2 徳島大学

ラマン散乱はグラフェンの層数、電子濃度、応力などを調べるために有効な分光手法です。金や銀の金属微粒子は光との相互作用により、光の強度を増強することが知られています。表面増強ラマン散乱は、この光の増強効果をラマン散乱に利用した手法です。本稿では、SiC上グラフェンに銀微粒子を作製し、グラフェンの性質を詳細に調べた研究を紹介します。


酸化グラフェン表面を用いたバイオセンシング
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◆執筆者 古川 一暁+1/上野 祐子+2
◆所属 +1 NTT物性科学基礎研究所
+2 NTTマイクロシステムインテグレーション研究所

本稿では、酸化グラフェンの表面にタンパク質を選択的に検出する機能を付加する研究について紹介します。NTT研究所では酸化グラフェンを固体表面に固定して利用することで、これまで解明されていなかった表面反応についての知見を得るとともに、オンチップバイオセンサへの展開を可能にしました。本手法はタンパク質のみならず、ほかの生体分子にも応用可能で、酸化グラフェンがバイオセンシングの汎用的なプラットフォームとして利用できることを示しています。



主役登場
グラフェンから学んだこと
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◆執筆者 日比野 浩樹
◆所属 NTT物性科学基礎研究所 主幹研究員


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