特集

コミュニケーション科学の新展開
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基礎研究の中から生み出される新発見、新発明によってイノベーションが起こり、産業構造と生活様式の変革につながることがある。本特集では、NTTコミュニケーション科学基礎研究所から生まれた技術の変遷を分析するとともに、最新の研究成果を紹介する。


基礎研究は「時代」とともに在り
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◆執筆者 前田 英作
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 所長

基礎研究の中から生み出される新発見、新発明によってイノベーションが起こり、産業構造と生活様式の変革につながることがあります。しかし、そうした成功事例はまれであり、基礎研究には高いリスクが伴うのも事実です。本稿では、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の活動から生まれた技術を歴史的変遷とともに分析することによって、将来に向けた基礎研究の推進戦略と、取り組むべき課題を過去の成功事例から明らかにします。


映像中の特定物体を探索するインスタンスサーチ技術
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◆執筆者 村田 眞哉/永野 秀尚/向井  良/平松  薫/柏野 邦夫
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

一般に画像や映像の検索ではテキストなどの付随情報(メタデータ)が活用されますが、膨大な量のコンテンツに対して事前にメタデータを付与することが難しい場合も考えられるため、コンテンツ自体に基づく検索技術の確立は重要な課題です。NTTコミュニケーション科学基礎研究所は15年以上にわたって、コンテンツに基づいて同じものを特定する技術の研究を進めてきました。その中でも、私たちが最近開発した「インスタンスサーチ」と呼ぶ技術では、問合せ画像にあるものと同じ物、人、建物などが映っている動画中の個所を、たとえその見え方が異なっていても、精度良く検出することが新たに可能になりました。本稿では、この新しい技術の概要と可能性について紹介します。


音声をよりクリアに,音楽をより豊かに—残響制御が切り拓く「音」の世界
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◆執筆者 木下 慶介
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

少しでも残響の残る部屋で音声をマイク収録すると、収録音には目的の音声だけでなく残響も含まれてしまいます。残響は収録音声の明瞭性を下げ、また自動音声認識の性能を低下させる要因になります。このように、コミュニケーションの手段としての音声にとっては、残響はしばしば邪魔なものになります。一方、音楽の鑑賞や演奏にとって、残響は必要不可欠な要素です。例えば、音楽ホールのステージ上で音楽が演奏されれば、その音はホール独自の豊かな響きである残響を伴って、厚みのある音として聴衆の耳に届きます。本稿では、残響のこのような功罪両面の効果を自在に操る革新的音響信号処理技術「残響除去・制御技術」を紹介します。


指でつまむと引っ張られる感覚を生み出す装置「ぶるなび3」
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◆執筆者 雨宮 智浩/高椋 慎也/伊藤  翔/五味 裕章
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

NTTコミュニケーション科学基礎研究所では、物理的には引っ張っていないにもかかわらず、あたかも手を引かれるような感覚をつくり出す力感覚提示手法の研究を進めています。これまでにも「非対称振動」を利用することで引っ張られるような感覚をつくり出せることを示し、その知覚特性や応用装置の研究を行ってきましたが、装置が固定電話の受話器ほどの大きさのため可搬性に乏しいという問題がありました。本稿では新しい機構を採用することにより、従来の試作機より9割以上サイズと重量を小さくした「ぶるなび3」を紹介します。


質感認識の科学と制御—液体質感をもたらす映像中の動き情報の探求
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◆執筆者 河邉 隆寛/澤山 正貴/丸谷 和史/西田 眞也
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

目の前の物体を見たとき、私たちはその物体を構成する素材の柔らかさや輝き、重さなどの質感を感じ取ることができます。では、脳はどのような画像情報に基づいて物体の質感を認識しているのでしょうか。NTTコミュニケーション科学基礎研究所では、映像中の動きの特徴量から人間が液体の粘性や透明感といった質感を認識することを発見しました。また、その特徴量を操作することで、映像中の液体質感を操作することのできる技術を提案しましたので紹介します。


身体から潜在的な心を解読するマインドリーディング技術
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◆執筆者 柏野 牧夫/米家  惇/Hsin-I Liao/古川 茂人
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

ICTと利用者のかかわり方をよりナチュラルなものにするための鍵を握るのが、心の状態を生体信号から解読するマインドリーディング技術です。とりわけ、意思決定や対人印象などを大きく左右するにもかかわらず、当人も言語化したり自覚したりすることが困難な、潜在的な心の状態が解読できれば、ICTの適用範囲も質も飛躍的に変わります。NTTコミュニケーション科学基礎研究所では、潜在的な心を無自覚的な身体動作や自動的な生理反応から解読することを目指して研究を進めています。


素因数分解だけではない量子計算の魅力—量子探索技術の可能性を探る
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◆執筆者 谷 誠一郎
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

量子コンピュータは、量子力学独特の性質を積極的に利用して計算を行うコンピュータです。実用レベルに達するには、まだ長い年月がかかるといわれていますが、現在のコンピュータでは解けない問題を、超高速に解くことが期待されています。本稿では、現在知られている量子アルゴリズムの中でも特に応用範囲が広いとされる量子探索を取り上げ、量子コンピュータの可能性について考えていきます。


光で音をつかまえる—LEDと高速カメラで挑む超多チャネル音響信号の観測
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◆執筆者 Pablo Nava Gabriel/白木 善史/Nguyen Hoang Duy/鎌本  優/佐藤  尚/原田  登/守谷 健弘
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所

NTTコミュニケーション科学基礎研究所では大規模な空間の音響信号をまるごとつかまえるため、並列性に優れた高速カメラとマイクロホン信号をLEDに変換するセンサからなる可視光通信を利用し、マイクロホンアレイを試作しました。そして配線や電波に制約されずに、120チャネルのマイクロホンアレイ信号による実時間の指向性収音を実現し、将来の大規模化の見通しを得ました。これによりライブ・イベントなどでの超指向性収音や臨場感音響環境の実時間録音、取得・配信への応用が期待されます。


主役登場
視覚認識を支える脳情報処理の解明
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◆執筆者 河邉 隆寛
◆所属 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 リサーチスペシャリスト

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