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グループ企業探訪

第264回 テルウェル西日本株式会社

扱い商材が豊富な“非通信領域における総合商社”

テルウェル西日本は、1952年2月に発足した「財団法人電気通信共済会」に起源を持つNTT西日本グループの発展へ貢献するべく事業展開を図っています。2001年4月の独立・会社設立以来、オフィス物品・サプライの販売から、清掃や設備管理、BPO(Business Process Outsourcing)サービスへと業容を拡大し、“非通信領域における総合商社”としてロボットを活用したビジネス展開へと進化し続けています。ロボットを活用して、清掃関連業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む山田邦裕社長に話を伺いました。

テルウェル西日本
山田邦裕社長

お客さまに「快適さ」「便利さ」と「安心・安全」を提供し、社員が「明日もこの職場で働きたい」と思える会社を実現

■設立の背景と会社の概要について教えてください。

1952年2月11日に「財団法人電気通信共済会」が発足し、「電気通信事業の発展と生涯福祉に貢献する事業体」として、主として電電公社向けに相互扶助や福利厚生、そしてオフィス物品で、机や椅子、コピー機などを中心とした物販を行い、ストーブ用の薪や石炭を販売していたこともありました。テルウェル西日本は、この「財団法人電気通信共済会」を母体としています。1998年に財団法人の物販による営利行為が禁止されたことを契機に2001年4月に「財団法人電気通信共済会」から物販部門が分離して、テルウェル西日本が設立されました(同時にテルウェル東日本も設立)。2007年2月にNTT西日本グループの会社となり、物販や清掃に加えて設備管理等へ事業領域を拡げてきました。
現在は、NTT西日本のエリアをベースとして、6支店および22営業支店を構え、約4400人の社員を擁し、「One Telwel to Future 皆さまの仕事・暮らしと共に 未来へ」をビジョンに、お客さまに「快適さ」「便利さ」と「安心・安全」を提供することをとおして、地域社会の課題解決とNTT西日本グループの発展に貢献するとともに、テルウェル西日本グループ各社で働く社員が、「明日もこの職場で働きたい」と思える会社の実現をめざしています。

■具体的にどのような事業展開をしているのでしょうか。

現在はロボットを活用したハイブリッド清掃事業や設備管理、電力ピーク制御サービスなどの省エネソリューションを展開する「総合ビルマネジメント事業」を中心として、中小企業向けのDX提案、オフィスプランニング、PC・什器等オフィス商材の販売を行う「オフィスソリューション事業」、幅広くBPO(Business Process Outsourcing)サービスを展開する「アウトソーシング事業」のほか、非常通報機や電柱広告など、多岐にわたる商材を扱い、“非通信領域における総合商社”としてお客さまのさまざまなお困りごと解決を行っています。これらの事業は、NTTグループからの受託事業と一般市場向けの事業に大別されますが、一般市場のお客さまからの収益拡大にフォーカスし、さまざまなアライアンスパートナーとともに、新たなお客さまとの接点拡大、つながりをいただいたお客さまを大事にさせていただき、つながりをさらに拡げ・深めていくことに注力しております。私どもは、新たな価値の創造に努めるとともに、お客さまに信頼されるパートナー企業であり続けることをめざし、当社の変革のスピードも一層加速し、社員一丸となって、次の時代につながる「挑戦」に取り組んでいきます。

ロボットの導入によるDXに業界全体として取り組む

■特に注力しているのはどのような事業でしょうか。

ロボティクス・ソリューションによるビル管理効率化を実現する「ロボット&ロボット制御プラットフォーム」と電力ピーク制御サービスを中心とした「省エネソリューション」に注力しています。
「ロボット&ロボット制御プラットフォーム」は、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献、ビルメンテナンス業界の課題(人員不足・高齢化)解決に向けたソリューションとして、「ヒト」と「ロボット」の融合による「ハイブリッド清掃(図1)サービス」としてビジネス展開しており、ICTを活用したスマートビルメンテナンスを導入し、人×AI×利用状況に応じた最適なロボット(図2)をコーディネートした清掃サービスを提供しています。こうした清掃ロボットに加え、配膳ロボットや警備ロボット等の異なる役割を担うロボット群がデータ連携により同一空間で協調して稼動し、効率的なビル管理を実現する世界を見据え、NTT西日本と当社で「地図シェアリング技術」を共同開発しました。2023年11月にはugo株式会社と共同実証実験に取り組みました。実験では、清掃ロボットと清掃員がプラットフォームを通じて受信した、清浄度データを活用した清掃活動の実施や、マルチユースな点検・警備ロボットが施設内の巡回警備、消防、照明設備点検、紛失物確認等の複数業務をしながら、環境センサで清浄度の測定等を行っており、その結果を活かしてロボットを効率的に運用するICT基盤であるプラットフォームの構築をめざしています。
「省エネソリューション」については、電力使用量の管理・削減をとおして省エネルギー化による環境保護への貢献に資するサービスとして、空調の無駄を減らし、コスト削減と環境への配慮で地球の未来に貢献する「電力ピーク制御サービス(図3)」を提供しています。お客さまの導入障壁を軽減した「ESCO型(お客さまの初期投資“0”)モデル」のサービス提供を2023年秋より開始し、一層の省エネ・カーボンニュートラルビジネスの拡大に取り組んでいます。さらには、お客さまの環境に合わせ、このサービスに他社の提供する省エネ商材を組み込むことで省エネ効果を最大化する等、より効果の高いソリューションを提供しています。

■今後の展望についてお聞かせください。

清掃や警備などのビル管理業務は、労働集約的業務であり、慢性的な人材不足および高齢化がビル管理業界における大きな課題となっています。こうした課題解決に向けて、清掃ロボットや警備ロボットの導入によるデジタルトランスフォーメーション(DX)に業界全体として取り組んでいます。しかしながら、各分野においてロボットが個々に導入されており、それぞれのロボットの相乗効果を得るための効率化は図られていないのが現状です。そこで、先述の共同実証実験では、複数のサービスロボット導入がスタンダードになる時代を見据え、ugo社の「ロボットハードウェア機能」、NTT西日本と当社の「ロボットサービス・地図シェアリング技術」を組み合わせ、より効率的なビル管理の実現をめざしています。また、ロボットのみならず、人手不足、省エネ、DX推進等、お客さまが必要とされるソリューションをご提案して、お客さまの課題解決に努める、お客さまに選ばれ続ける企業になっていきます。

「人」と「ロボット」を融合させた「ハイブリット清掃」を展開

総合ビルマネジメント部商品開発担当 担当課長
栗田 眞也さん

■担当されている業務について教えてください。

総合ビルマネジメント部において、ビルメンテナンス(ビルメン)業務に関係する商材の発掘および新規プロダクト開発を担当しています。
社会課題(ビルメン業界)である人財不足・人件費高騰等の対策としてロボットの導入が必須となっていることから、その企画・開発に取り組んでいます。
具体的には大手メーカと連携して業界初の国産クラウド型小型清掃ロボットの開発をして「ロボ★メン」としてサービス化を図ったり、長年NTTビルの清掃で培った高い清掃品質を活かしてさまざまなメーカーから出されている清掃ロボットの特長とお客さまの清掃現場をマッチングさせ、お客さまにとって最適なロボットを選定(目利き)をすると同時に、新しい清掃のカタチとした「人」と「ロボット」を融合させた「ハイブリット清掃」を展開しています。
単純なロボットの機器販売ではなく、お客さまのニーズ(お困りごと)と実際の運用を想定したお客さまごとの提案ができるように「開発社(メーカ)の目線」と「ロボット運用実績のあるビルメン会社の目線」の2つを上手く活用しています。
しかし、まだロボットを導入することを受け入れられない企業様が多いことから、どのような開発・企画が必要かを考えながら日々精進しています。

■今後の展望について教えてください。

さらなるロボットの導入を加速させるために、稼働削減・各種ロボットを一元的な管理ができるようにNTT西日本と共同研究している屋内地図を変換・統合できる「地図シェアシステム」の展開と、各社展開しようとしているロボティックス基盤との「ロボ★メン」を含めた連携させ、社会課題の解決に努めていく考えでおります。またビルメン業界全体で品質を無視した「価格ありき」で清掃を受託している状況から脱却するねらいもあり、飲食業界で実施されているミシュラン評価をビルメン業界で導入すべく、「清掃コンサル」の展開を始めたところです。これにより、お客さまへさらなる快適な環境の提供と建築物の価値向上・延命につなげることが可能となります。また、価格の適正化を図ることで、ビルメン業界全体の活性化が実現でき、ロボット群の導入が加速すると考えます。
最終的には清掃関連の業界イメージである3K(きつい・汚い・危険)から脱却させて、新たな3K(キレイ・かっこいい・高収入)を構築して業界全体を変えていければと思います。

ア・ラ・カルト

■「第18回 全国ビルクリーニング技能競技会」で大会史上初の2連覇

2023年11月15〜17日に東京ビッグサイトで開催された、「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO 2023」の2日目に開催された、「第18回 全国ビルクリーニング技能競技会」において、全国9地区からの代表・18名が競い合う中、近畿地区代表として出場したテルウェル西日本の天谷泰久社員が厚生労働大臣賞(優勝)に輝いたそうです(写真)。この大会は2年に1回開催されており、前回、厚生労働大臣賞を獲得したテルウェル西日本の長田千宏社員に引き続き、大会史上初の2連覇を達成したとのことです。

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