2025年3月号
グループ企業探訪
人と技術で、まだ見ぬ未来へ─ITの最新技術を駆使し、お客さまの事業革新を実現する
NTTデータ先端技術は1999年の創業から25年、最先端の技術と専門性を活かし、NTTデータやNTTグループと共にお客さまの挑戦を支援するIT技術者集団として発展し続けています。ますます高度化、複雑化する情報社会でお客さまの高度な課題解決に取り組むNTTデータ先端技術の今とこれからについて、藤原遠社長にお話を伺いました。
NTTデータ先端技術
藤原遠社長
IT最新技術を活用した多くの経験から、お客さまにとって最適なソリューションを提供
■設立の背景と会社の概要について教えてください。
NTTデータの国内グループ会社の中で、NTTデータ先端技術はITシステムにかかわる最新テクノロジを全分野横断に提供する会社として1999年8月に設立されました。現在では当社のグループ会社であるNTTデータ ニューソンを含め社員数は約1600名になります。特にこの10年で社員数が3倍に拡大し、その多くが専門性を持つITエンジニアや技術コンサルタントであり、お客さまに最適なソリューションを提案・提供しています。
会社の事業規模が急速に拡大する中で、全社員で当社の存在意義(パーパス)を共有する必要性を強く感じたことから、全社員による検討を行い、2024年9月に対外的なブランドスローガンとして「人と技術で、まだ見ぬ未来へ」と、社内向けには3つの行動指針(技術への誇り、多才な力の結集、未来への挑戦)を制定しました。お客さまの求める高度な課題にこたえるIT技術者集団として、専門性を活かし、難問へと挑み、誰よりも先端で解決への道を切り拓いていくことがミッションであることを明確にしたところです。
■どのような事業展開をしているのでしょうか。
2024年4月から新たに4事業本部と1グループ会社の事業体制に移行しました(図1)。
これら5事業組織のもと、当社は3つの注力領域として「テクノロジコンサルティング」「ソリューション」「マネージドサービス」について成長戦略を定め、取り組んでいます。
まず「テクノロジコンサルティング」では、生成AI(人工知能)活用技術や基盤ノウハウを活用し、ITシステムグランドデザインやサイバーセキュリティなどの最上流コンサルティングに取り組んでいます。「ソリューションサービス」では、当社の持つ技術オファリングにより、お客さまのビジネステーマに対して最適な技術による価値を提供しています。そして、3番目の「マネージドサービス」では、当社がご提供するコアツールにより、運用品質やアジリティの向上、さらに自動化による運用高度化を実現する取り組みを進めており、順次開発・提供を進めている生成AIを活用したAIドリブン運用につなげているところです。
生成AIの飛躍的進化によるITシステム環境の変革期を迎え、見直すべきITプラットフォーム
■事業を取り巻く環境はどのような状況でしょうか。
国内IT関連事業トレンドは堅調を持続していますが、お客さまが求めているITの位置付けは「効率化の実現」から「価値提供」へと大きく変化しています。
これにこたえるために、当社が長年取り組んできたAI技術の活用は欠かすことができません。特に、近年急速に進化を遂げている生成AIは利用が拡大しており、企業における生産性の向上、問題解決や意思決定に大きく貢献する重要な存在になっています。
一方で、悪意を持った利用者は「AI を使った攻撃」や、「AI に対して攻撃」をして、攻撃対象企業が保有する個人情報や機密情報の漏洩インシデント、誤情報や有害コンテンツの生成による混乱、さらには企業システムそのものの乗っ取りまでも試みています。また、企業においては、各国のデータ保護法や規制に準拠することで、法的リスクを回避し信頼を高めることが求められつつあります。このような背景から、LLM(Large Language Model)を含む生成AIへのセキュリティ対策が不可欠な要素となっています。
当社では、最新の「OWASP(Open Worldwide Application Security Project)Top 10 for Large Language Model Applications 2025」に対応したセキュリティ診断サービスの開発に取り組んでおり、お客さまへの提供開始に向けて準備を進めています。
この診断サービスやその後のAIガバナンスコンサルティングサービスにより、AIのリスクへ適切に対応できる環境を整えたうえで、お客さまが各種AIの検証、開発、適用範囲の拡大に安心して取り組んでいただけることをめざしています(図2)。
当社がこれらの取り組みを実施するうえで非常に重要な役割を担っているのが、長年日本向けの開発プロジェクトに当社とともに発展してきたインド・プネを拠点とする開発チームと、当社が直接業務提携をしている世界でも有数の優れたAIエンジニア集団である現地の先進AI開発企業です(写真1)。
各社が競って開発を進める生成AIプラットフォームから、それぞれの特徴を見極め、最適なソリューションをお客さまへ提供するための取り組みや、各分野の高度な専門知識を持つ複数のAIの連携利用を、国内外の開発パートナーと当社で一丸となって進めています。
■今後の展望についてお聞かせください。
ビジネス面では生成AI、サステナビリティ対応などのお客さまニーズにおこたえできる体制を整えると同時に、開発者変革の領域を中心にプロジェクトや技術が持つ固有のナレッジを対象としたナレッジマネジメント、そして、開発に付随するオペレーションをサポートするAIモデルの開発を中心に、さまざまな職場環境における属人的なナレッジを広く共有できる仕組みの実現を加速しています。
そのうえで「最先端の技術」に加え、NTTデータグループ企業に向けた豊富なコンサルティング実績から、「お客さまの事業変革に対するニーズを理解し、最適な移行プランの提案、システム開発、導入後の維持運用までを一貫してトータルで提供できること」が大きな強みとなるよう引き続き取り組んでいきます。
また、当社が新たなステージにレベルアップしていくための環境整備の一環として、2025年1月にオフィスの集約を図り本社を東京駅前のJPタワーに移転しました。見通しの良い1フロアにお客さまやベンダ、パートナー、社員といった多才な人々が集まって化学反応を起こしていけるような、そんな場所、機会を提供し、より良い未来を創り出していく会社をめざしていますので、ぜひ近くにお越しの際はお立ち寄りください。
担当者に聞く
NTTデータ先端技術がマネージド&ファシリティサービスで企業の成長を強力に支援
マネージド&ファシリティサービス事業本部
マネージドサービス事業部
サービスマネジメント担当 担当部長
大上 貴充さん
■どのような業務を行っているのでしょうか。
企業のITインフラは、クラウド化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により複雑さを増し、運用管理は大きな課題となっています。私たちマネージド&ファシリティサービス事業本部は、このような課題に対し、革新的なソリューションを提供します。
この本部は、2024年4月に新設され、「システム運用高度化」「働き方改革・セキュリティ」「クラウド活用」、そして「ファシリティサービス」を柱に、現代企業が直面する喫緊の課題を解決へと導き、お客さまのビジネス成長へ長期的に貢献していきます。
具体的なサービスとして、データセンタやオフィスなどのファシリティ管理、ネットワーク構築・運用などの包括的な提供に加え、高付加価値のマネージドサービスを提供しています。お客さまのITインフラ全体を最適化し、事業成長を力強く後押しします。
■INTELLILINK 統合運用ソリューション
私たちは、生成AI技術を活用したシステム運用の「品質向上」「アジリティ向上」「コスト低減」を実現する「INTELLILINK 統合運用ソリューション」を提供しています。この「INTELLILINK統合運用ソリューション」には大きく3つの特長があります(図3)。
(1) 運用標準化のメソドロジ
実績に基づく開発・運用メソッドを活用し、運用の標準化と集約化を推進します。AIを活用した運用高度化を考慮し、システムアーキテクチャを設計・構築します。サービスレベル目標の指標を定義し、運用開始後も継続的な改善を支援します。
(2) コアツールによる運用自動化
統合運用管理ソフトウェアHinemosやオブザーバビリティを実現するNew Relic、ITサービスマネジメントクラウドサービスであるServiceNowを活用し、最適な運用環境を構築します。これによりシステムの可用性、性能、拡張性、セキュリティを保ちながら運用の自動化を推進します。また、運用課題に応じたxOps(DevOps、SecOps、PerfOps、CloudOps、FinOps、AIOps、NoOpsなど)の導入と実装も支援します。
(3) AIドリブン運用による高度化
従来の人手による業務を見直し、AIを用いた自動化を推進します。これによりヒューマンエラーの撲滅と対応の迅速化を実現します。良質な学習データを蓄積し、AIのパフォーマンスを継続的に改善します。また、「システム運用AIアシスタント」との協働によりITシステムの運用作業を効率化し、作業負荷の軽減と属人化の排除を図ります。
■AIドリブン運用
ITシステムの運用にAIを活用する試み(AIOps)は以前から存在していましたが、従来人間の経験や直感に頼っていた部分について、生成AIがデータ解析によるトレンド・異常予測などをサポートすることで変革が行われてきています。
この変革をさらに推進するためには、AI活用を前提としたシステム運用の仕組み(AIドリブン運用)が必要です。
当社では「AIドリブン運用」を実現するために必要な運用設計や運用プロセスをメソッドとして整理するとともに、「システム運用AIアシスタント」構想を描いています。
「システム運用AIアシスタント」は、ITシステムから収集・蓄積したデータなどの運用に関するシステム固有の情報や、当社がこれまでに培ってきた設計や保守などに関する運用ナレッジを基に、生成AIを活用してシステム運用の自動化・効率化をめざすものです。
さまざまな情報をシステム運用AIアシスタントが総合的に処理することで、運用業務上のサービスマネージャの判断をアシストしたり、自動でシステムへの実行指示を行ったりすることを可能とし、ITシステム運用の高度化を実現します。
■今後の展望について教えてください。
私たちの強みは、既存ビジネスで培ってきた豊富な経験と高度な技術力です。これを基盤に、単なる保守にとどまらず、お客さまにとって真に価値のあるサービスを提供していきます。システム運用・保守、監視、障害対応という従来のサービスのみならず、システム改善提案や運用効率化はもちろん、高度な技術サポートや専門コンサルティング、そしてお客さまのニーズに合わせた新たなソリューション開発まで、幅広く対応します。さらに、ITインフラ全体のフルアウトソースにも対応することで、お客さまがIT運用から解放され、コアビジネスに専念できる環境を提供します。
NTTデータ先端技術のマネージド&ファシリティサービス事業本部は、お客さまのビジネスパートナーとして、変化の激しい時代を共に乗り越え、持続的な成長を支援します。
ア・ラ・カルト
■新オフィスで開催の創立25周年記念イベントは、社員・家族への感謝がテーマ
2024年8月にNTTデータ先端技術は創立25周年を迎えました。これまでお客さま・お取引先や協力会社の皆様のお力添えにより、ここまでくることができたようですが、それにも増して常にその中心で貢献し続けていたのは社員とその家族です。そのため、これまでの感謝を伝え、家族で気持ち新たに新環境を迎えられるよう願いを込めて、社員とその家族を新オフィスに招く「オープンハウス」イベントを開催 (写真2)。約600人が来場し、盛況に終わったそうです。
イベントでは家族を新本社に招いたオフィスツアーが開催され、AI技術をPC上でより身近に触れていただく体験コーナーや、お子様向けにはオフィス内各エリアでシールを集めるシールラリーを楽しんでいただくなど、ご家族にとっては貴重な体験を提供。互いに感謝を伝え、社員やご家族のさらなる一体感が生まれたイベントとなったようです。
■“人が集まる場所”をコンセプトに、本社をJPタワーに移転
中期経営計画の達成に向けて、新しいことに挑戦できる人や組織を育てるオフィス環境が重要であるととらえ、働く環境のダイナミックな見直しが進められました。社員が「オフィスワーク」「ハイブリッドワーク」のどちらでも最大限能力が発揮できる環境をめざし、最終的に本社が東京駅至近の千代田区丸の内に位置する「JPタワー」に移転されました(写真3)。
新本社のコンセプトとして“人が集まる場所”が掲げられています。各エリアにコンセプトを設け、特に「コミュニケーションエリア」と称したエリアは、中央に半円のステージが配置されています。Intelligence(知性)+Link(つなぐ)の造語である英語社名の一部“INTELLILINK”にかけて、情報が“輪”のように広がり駆け巡るイメージをデザインコンセプトの1つとしたそうです。
今後も、社員どうしが業務に最適な場所を自律的に選んでコミュニケーションを活発化させ、組織がより持続的に成長できる環境づくりをめざすとのことでした。
