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2025年5月号

グループ企業探訪

第277回 NTTビズリンク株式会社

「もっとお客さま側へ / お客さまを創造する」 お客さまに寄り添い、お客さまの課題解決・ビジネス変革のために貢献

NTTビズリンクは、設立以来20年以上にわたり、法人のお客さまに、ビデオ通信やシステムインテグレーションを中心としたコミュニケーション&コラボレーション、およびデータセンタの運用・工事を担うデータセンタソリューションを、トータルソリューションとしてワンストップで提供しています。「Empathy & Smart (共感 & スマート)」をビジョンとして掲げ、「Challenge & Innovate」を合言葉に、法人のお客さまのICTパートナーとして歩み続ける浦宗陽社長に、多様な事業分野をバックグラウンドとしたトータルソリューションと、「もっとお客さま側へ / お客さまを創造する」に込めた思いを伺いました。

NTTビズリンク
浦宗陽社長

複数企業との事業統合によりさまざまなバックグラウンドを持つ企業

■設立の背景と会社の概要について教えてください。

NTTビズリンクは企業向けデータセンタサービスを提供する、ホスティング・ASP(Application Service Provider) 事業者として2001年に設立されました。2003年にNTTフェニックス通信網の「テレビ会議多地点接続サービス事業」、2004年にNTT-MEの「データセンタ事業」、2005年にぷららネットワークスの「アカウントアグリゲーションサービス」、2007年のNTTコミュニケーションズ70%、NTT東日本30%の出資からなる共同出資会社化に伴い、NTTコミュニケーションズのデータセンタ運用事業を当社が引き継ぎました。このような経緯を活かして、私たちは、設立以来20年以上にわたり、法人のお客さまのICTパートナーとして、ビデオ通信やシステムインテグレーションを中心としたコミュニケーション&コラボレーション事業、およびデータセンタの運用・工事を担うデータセンタソリューション事業に磨きをかけてきました。
そして、2022年からはドコモグループの一員として法人事業ブランド「ドコモビジネス」の下、法人のお客さまにトータルソリューションをワンストップで提供しています。
当社は、「共冠:Vision first」「共歓:Customer first」「共観:Action first」「共敢:Innovation first」「共間:Communication first」「共完:Settlement first」の6 つの“思考”と、「スマートなICT」「スマートなValue」「スマートな働き方」「スマートな数字目標」の4 つの“ 実考” からなる「Empathy & Smart( 共感 & スマート)」をビジョンとして掲げ、「私がやります。お客さま企業・その人々・その社会のために、そのワクワクする夢・感動のために、未来を超えるビシネス・リンクの価値のために、私は加わります、実現します、拡げます、続けます。」という言葉に思いを込めた、“Challenge & Innovate”を合言葉に、これからも技術の変化を先取りし、お客さまやパートナーの皆様の声に耳を傾け、社員一同一層の努力を重ねていきます。

■どのような事業展開をしているのでしょうか。

近年、デジタル技術を活用して企業のビジネスや社会全体に変革をもたらす取り組みであるDX(デジタルトランスフォーメーション)や顧客体験や顧客経験価値を高めるCX(CustomerExperience)はどの企業においても非常に注目されています。
当社はお客さまが求めるDX/CXのニーズに合わせて、以下のような事業を展開しています。
① NTTグループで培ったデータセンタのノウハウや技術により、導入コンサルティングから設計、構築、24時間365日のオンサイト運用、セキュリティシステムや省人化を実現する総合ソリューションをワンストップで最前線に立って提供。また、NTTグループおよび外部のデータセンタ、オペレーションサービスの提供(常駐データセンタ約40拠点、駆け付けデータセンタ約50拠点、遠隔受付約30拠点(図1)。
② NTTグループの堅牢なデータセンタ内で提供するICT基盤を活用して、クラウド・ゼロトラスト化のコンサルティングや構築からサーバ攻撃などに備える24時間365日の運用監視やセキュリティに貢献するインフラ&セキュリティーソリューション提供。
③ オフィスのウェルビーイングに貢献する快適なコミュニケーションのトータルコーディネート(映像・音響など)。失敗できない映像イベントのサポートや常設型配信プラットフォーム、インターネットを利用した簡単・便利な配信などについて提案・設計から構築・運用・サポートまで、映像イベント&配信ソリューションをワンストップで提供。
④ 現場の人手不足や生産性向上に貢献する、遠隔作業支援などの映像サービスや、建物や施設の調査や情報の見える化などコンサルティング・ソリューション提供。スマートグラスやタブレットを用いた映像コミュニケーションによる遠隔作業支援ソリューションや、建物内画像をストリートビューのようにデジタルアーカイブする“Beamo”など、“現場のDX”を推し進めるさまざまなソリューションを提供。
⑤ 顧客体験や顧客経験価値を高めるCX強化に貢献するクラウド型コンタクトセンターソリューションの提供。小規模からあらゆる規模で迅速に導入可能なクラウド型ソリューションにより、CTI(Computer Telephony Integration)機能、チャットやあふれ呼管理機能、これらのトータルなソリューションに、AI(人工知能)などの先進技術も組み合わせることにも対応するNTTの信頼性に加えて、迅速かつ柔軟な対応と、お客さまの事業成長と共に歩むことをモットーとしたコンタクトセンターソリューションを提供。

ユーザニーズにこたえる確かな提案力と技術力

■市場環境はどのような状況でしょうか。その中で、どのような事業に注力されていますか。

近年では、労働人口の減少、価値観の変化、働き方改革の推進といった背景をふまえて、業務効率化や生産性向上のためのサービス・ソリューションの導入だけではなく、働く場所の快適さを含む「ウェルビーイング」が重要視されており、従業員の心身健康を支えるオフィス環境を整えることの市場ニーズが高まっています。加えて、クラウドサービスの利用拡大、すべての通信を信頼しないことを前提に、さまざまなセキュリティ対策を講じるゼロトラスト化などにより、特に、ICTにかかわる社内リソースが不足している中堅中小企業におけるセキュリティの強化やシステムやネットワークの運用効率化については課題になっており、このようなお客さまの業務課題をトータルで解決することが求められています。
こうした課題に対して、当社は単にサービス導入の提案・提供だけではなく、企業のセキュリティ対策やネットワークの監視運用なども総合的にご提案し、お客さまに代わり、お客さまシステムの問題解決をサポートする運用保守まで積極的に行っています。お客さま課題をトータルで解決するソリューションの1つとして、長年、映像コミュニケーションのパイオニアとして培ってきた知見を活かした、オフィスの映像・音響システムのトータルコンサルティングに力を入れています。
典型的な導入事例として、当社が映像・音響面でトータルコーディネートさせていただいたNTT都市開発の手掛ける「アーバンネット御堂筋ビル」があります。開発時の課題として、
・これまでにない「ウェルビーイングを実現するワークプレイス」を実現するため、特定のメーカに偏ることなく、真に空間に適した映像・音響システムをトータルコーディネートする必要があった。
・「リフレッシュスペース」として1つひとつのインテリアやデザインにもこだわりぬいた空間のため、その世界観にフィットした機器を選定するのが困難だった。
ということがありました。これらに対して、NTTビズリンクは、数ある製品の中から品質とコストを両立する最適なものを提案し、上質なリフレッシュスペースの実現をサポートすることをめざして、ウェルビーイングを実現する新たなオフィスビルで、入居者に高い満足度をもたらす共用スペースの映像・音響システムを導入しました(図2、3)。その結果、共用スペースの映像・音響システムの充実ぶりを入居の決め手に挙げる企業が多い中、1つひとつの製品を熟知した熱量の高い提案によって、映像・音響環境を整える側面からウェルビーイングを支援することで、要望以上の理想の空間が実現でき、入居者から高い評価をいただくことができました。また、建物利用者の健康とウェルネスを高める空間づくりを評価する「WELL 認証(WELL Core)」ゴールドランクを西日本エリアの賃貸ビルで初めて取得しました。

■今後の展望についてお聞かせください。

市場の変化は速く、お客さまのニーズも多様化する中、お客さまと積極的なコミュニケーションを取り信頼関係を築く、お客さまの声を聞き、フィードバックを積極的に取り入れ、サービスの改善に役立てお客さまに合わせたサービス・ソリューションを提供し、お客さまの満足度を高めることが重要だと考えています。NTTビズリンクは、「もっとお客さま側へ / お客さまを創造する」を合言葉に、一味違う営業力・ソリューション力でお客さまの課題解決に挑戦し続けたいと思っています。

担当者に聞く

お客さまの運用課題から導き出す新たな価値を創造し、社会やビジネスに貢献する

プラットフォーム本部 プラットフォーム運営部担当課長
桝谷 勝久さん

■どのような業務を行っているのでしょうか。

システムエンジニアとして、お客さまの社内ネットワークの構築や、Wi-Fiアクセスポイントの設計・構築などを担当しています。要件定義から設計、機器の設定、通信試験、工事などを行っており、特に、ネットワーク運用における効率化や環境整備に注力しています。
お客さまのオフィス回帰・ワークスタイル変革に伴い、オフィスのリノベーションや既存オフィスの課題への問合せを多くいただいており、特にWi-Fi関連での問合せも多く、NTTコミュニケーションズをはじめとするNTTドコモグループ、NTTグループ各社にもご支援をいただきながらお客さま提案を進めています。
2024年度は、文部科学省のGIGAスクール構想実現に向けた事業の1つである「GIGAスクール構想における教育現場の環境整備」で提供した当社のマルチプラットフォーム監視可視化のサービス「マルモ」を活用した案件で、NTT Com DD社からの紹介もいただき、初挑戦したCatalyst Meraki D-1グランプリに参加しました。
Catalyst Meraki D-1グランプリは、シスコシステムズのMeraki(ダッシュボード)およびCatalyst(ネットワーク製品)が公開しているAPI(Application Programming Interface)を利用して、サードパーティ製品やソリューションと組み合わせることで新たな価値を創造し、社会やビジネスに貢献できる作品を競い合うコンテストで、私たちはそのテーマの中から、「教育・労働改革」を選択しました。
小・中・高等学校の教育現場では、ネットワーク環境は整備されているにもかかわらず、いざPCやタブレットを活用した授業を行う際に、「通信状況が悪い、つながらない」、あるいは「今日はつながらないかもしれない」といったネットワークの混雑状況が怖くて結局紙の教材も授業に持って行ってしまう、という声がありました。この問題を解決するために、NTTビズリンクが提供している、マルチプラットフォーム監視可視化クラウド「マルモ」を活用することで、リアルタイムでのWi-Fi通信情報と、時間割型の混雑情報の閲覧を実現しています(図4)。
本コンテストでは、帯域を考慮したデジタル授業を実施するためのWi-Fi通信の利用状況を教職員が簡単に把握できる点や、ネットワーク管理ツールを操作したことがない教職員が、デジタル授業を運営する際に使うことを考慮した設計が評価され、アイデア賞受賞しました。

■今後の展望についてお聞かせください。

お客さまの新しいワークスタイルに対応したネットワークソリューションや、多様なデバイスの利用によるネットワークの効率的な管理と強固なセキュリティ対策など、お客さまの課題に寄り添った総合的なネットワークソリューションの提供を行い、社会やビジネスの発展に貢献していきたいです。

ア・ラ・カルト

■社会福祉法人ふる里学舎の月1回のパン販売&経営幹部によるコーヒー提供「カフェ春日」

障害者福祉向上のため、共同生活支援、就労支援、放課後デイサービス等の多機能拠点として活動している「社会福祉法人ふる里学舎」で製造する手づくりパンを毎月1回お昼に販売を行っているとのことです(写真)。販売されているパンは、惣菜系から甘系まで種類が豊富で、価格もリーズナブルなため、当日は出遅れると欲しいパンが買えないほどの大盛況だそうです。また、パン販売の日に合わせて、定期的に「カフェ春日」と題し、浦社長自らがこだわり選んだコーヒー豆でいれたおいしいコーヒーを社員に振る舞っています。その他の幹部もエプロンをつけ、コーヒーサーブを手伝っているそうです。

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