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2025年5月号

グループ企業探訪

第276回 株式会社NSFエンゲージメント

経営者と同じ目線に立ち、課題の発見、解決策を提案。「戦略総務」でお客さまの変革をサポート

コロナ禍を経て、オフィスへの回帰が進み、リモートワークとオフィスワークを組み合わせた、ハイブリッドワークが普及してきました。こうした環境において、NSFエンゲージメントは、オフィスは単なる業務スペースではなく、リアルなコミュニケーションを通じたイノベーション創出の場としての最適化をめざして「戦略総務」を提唱しています。「総務を進化」させていくことで、社員エンゲージメント向上をはじめとしたお客さまのパートナーとして付加価値向上に貢献しています。NSFエンゲージメント梅澤恭太社長に、「戦略総務」の役割と、従来の「管理総務」から「戦略総務」への進化をめざす考えについて伺いました。

NSF エンゲージメント
梅澤恭太社長

幅広い事業領域(総務・FM・ワークプレイス・保険・EHS)を活かし、複合型ソリューションを展開

■設立の背景と会社の概要について教えてください。

NSFエンゲージメントは、NTTファシリティーズとソニーコーポレートサービス(現ソニーピープルソリューションズ)の合弁会社として、2019年5月に誕生しました。ソニーの“働く場”を支えてきた「総務の専門家集団」が母体となり、NTTファシリティーズとの合弁により、働く場の進化と社会的課題の解決にチャレンジしています。NSFエンゲージメントという社名は、New Standards for Engagementの略です。VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)時代といわれる、将来を予測するのが難しい今こそ、“社員エンゲージメント”がますます重要になってきます。私たちは「日本の総務を再定義する」というミッションのもと、「場から人をエンゲージメントする」をビジョンに掲げています。約500名の社員が「働き方とオフィスの変革」「環境負荷とエネルギーコストの低減」「多様化する災害リスクへの対策」など専門性の高いソリューションを提供することで、従来の総務の枠を越えた新しい Standardsを創造し、“総務を進化”させ、お客さまのパートナーとして新しい価値を生み出しています。

■どのような事業展開をしているのでしょうか。

『これからの「働く」をつくる、支える。~ハイブリットワーク時代の「働く」をコンサルティングから運営まで~』をコンセプトに、「総務サービス」「ワークプレイスソリューション」「ファシリティソリューション」「空間ソリューション」「リスクソリューション」「保険ソリューション」と、幅広い領域を活かした複合型ソリューションを展開しています。企業の働き方が多様化する中で、オフィスは単なる業務スペースではなく、リアルなコミュニケーションを通じたイノベーション創出の場としての役割が強まっています。そのため、社員エンゲージメント向上を軸に、働く環境の最適化を支援するさまざまなサービスを提供しています(図1)。
「総務サービス」は、働く場であるオフィスを充実させるために、社員食堂・売店・飲料販売機などの飲食にかかわる、生活支援サービス提供やイベント企画、運用サポートなど、社員エンゲージメント向上につながる提案を行っています。
「ワークプレイスソリューション」は、中長期的な拠点戦略の策定から、オフィス設計・空間デザイン・イベント企画運営までを手掛け、時代に合った働きやすい空間づくりを支援しています。お客さまの抱える課題の本質に迫るクリエイティブディレクションを提供するほか、プロジェクトマネジメントを通じて品質・コスト・スケジュールの最適化を図ります。また、福岡ではスモールオフィス事業「Mol.t」も展開しています。
「ファシリティソリューション」は、①省エネルギー推進サービス、②BCP(Business Continuity Plan)アシストサービス、③FM(Facility Management)-DX(Digital Transformation)推進サービス、④PM(Procurement Management)/CM(Construction Management)サービスの4種類のサービスにより、サービス工場・建物での老朽化対策や省エネルギー対策、ファシリティ業務効率化などの課題解決に向けて、お客さまに寄り添った課題対応をサポートします。
「空間ソリューション」は、①受付業務の総合DXソリューションである「coe's concierge」、②ホテリング機能(座席予約機能)にレコメンド機能を付加したハイブリッドワーク支援サービス「スマートホテリング」により、1人ひとりの抱える課題から、世の中に広がる課題までに向き合い、「場」に新しい価値と今までにない解決を届けます。
「リスクソリューション」は、①リスクアセスメントからはじめる防災コンサルティング、②“場に適した”・“場で考える”EHS(Environment、Health、Safety)活動の提案、③災害時にワークする体制・計画(BCP)の提案、の3つの活動により、環境の変化や気候変動による災害など、変化する企業活動のリスクに迅速かつ柔軟に適応し、企業内にリスク低減活動を根付かせるソリューションを提案します。
「保険ソリューション」は、法人向けと社員・個人向けがあります。法人向けは、リスク分析・戦略構築のサポートを行い、最適な補償の設計・調達を支援します。社員・個人向けは、お客さま各社の福利厚生保険制度の設計・調達・運営に至るまで、最適なソリューションを提供します。

■市場環境はどのような状況でしょうか。その中、どのような事業に注力されていますか。その具体的な事例も教えてください。

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、在宅を中心としたリモートワークが浸透しました。その後、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、オフィスへの回帰が進むことで、リモートワークとオフィスワークを組み合わせた、ハイブリッドワークが普及してきました。リモートワークの拡大期においては、社員の帰属意識や企業文化の醸成が課題となり、ハイブリッドワークへの移行が進む中においても、こうした課題をベースとした社員エンゲージメントの重要性は高まっています。また、ハイブリッドワークの定着に伴い、働く場所や時間の柔軟性を確保しつつ、企業の生産性や創造性をいかに維持・向上させるかということが新たな経営課題となっています。
今オフィスは、単なる業務スペースではなく、リアルなコミュニケーションを通じたイノベーション創出の場としての役割が強まっています。また、社員エンゲージメントを高めるための仕組みとして、企業のビジョンや価値観を社員に浸透させ、組織の一体感を生み出すために、物理的な環境整備だけでは足りないといえます。私たちはオフィスの最適化を通じて、リモートワークにより減少したリアルな対話の機会を創出し、デジタルツールの活用と組み合わせたハイブリッドワーク環境を整備します。さらに、リスクアセスメントや防災対策を強化し、企業が持続的に成長できる環境を提供しています。
私たちは、これからも時代の変化をとらえながら、働く場の進化を支えるソリューションを提供していきます。

■今後の展望についてお聞かせください。

従来のような「管理総務」では、時代の変化に対応できません。私たちは「戦略総務」という考え方を提唱し、経営者と同じ目線に立ちながら、企業の課題を発見し、最適なソリューションを提案・実行する支援を行っています。経営課題に直結するソリューションの企画・実行を通じて、お客さまの安定した事業基盤の確立を支援し、提供サービスの品質向上や従業員の成長機会創出に取り組みます。さらに、これまで蓄積してきた製造業向けFMのノウハウを活かし、事業拡大を推進することで、社会に貢献していきます。
また、NTTファシリティーズとのシナジー効果を強化し、両者の強みを活かした販路拡大を図ります。当社が持つ幅広い事業領域(総務・FM・ワークプレイス・保険・EHS)を活かし、単一のソリューション提供にとどまらず、複合型ソリューションの展開により、さらなる収益拡大をめざします。
当社の強みは何といっても唯一無二といえる幅広い分野のソリューションを複合的に提供できることです。こうした多様な取り組みにより、単なる総務機能サポートにとどまらず、企業経営を支えるパートナーとしての存在感を高め、持続的な企業成長を実現していきます。今後も市場変化を的確にとらえながら、積極的な事業展開を進めていきます。

担当者に聞く

企画、構築、運用の各フェーズで柔軟にかかわりながら、オフィスを起点とした課題解決と価値創造に貢献していくことが使命

チーフクリエイティブディレクター
高野 昌幸さん

■担当されている業務について教えてください。

ワークプレイス領域を中心に、お客さま企業のエンゲージメント向上やコミュニケーション・コラボレーション活性化等を目的としたオフィスによる課題解決、価値創造のコンサルティングから企画・構築・運営支援を担当しています。
お客さまと話をしている中で、「ABW(Activity Based Working)のオフィスを構築したが、うまく活用されない」「リモートワークやABWを導入したものの、エンゲージメント向上やコミュニケーション活性化の方法が分からない」といった「ハイブリッドワーク」や「エンゲージメント」に関するご相談を多くいただいています。また、こうした働き方の変化を契機とした「企業変革」に関するご相談もあります。
これらのご相談に対して、NSFエンゲージメントの特長である、「企画から運営まで一気通貫の支援」「先進的な知見とロールモデル」「エンゲージメント向上のための多角的アプローチ」を活かして、例えば、食堂やカフェスペースをつくる場合には、それを「昼食時間以外はどのように使われるべきか」「企業文化にどう溶け込ませるか」まで考え、単にオフィスを設計・構築するだけでなく、その空間が本来の目的やコンセプトに沿って活用されることも重視して具体的な施策を提案します。また、コミュニケーションイベントの実施も単発ではなく、企業の風土や価値観に根ざしたかたちで継続的な施策として組み込んで提案します。さらに、ハイブリッドワークのオフィスづくりとして、「ワーカー視点」ではなく「チーム視点」で考えることで、「個人のABWでなく、チームのABW」を提案しています(図2)。

■今後の展望について教えてください。

近年、ワークプレイスや働き方に関する市場環境は大きく変化しています。リモートワークが定着する一方で、オフィスの価値を見直す動きも強まっており、単なるワークスペースではなく「企業文化やチームワーク、コミュニティの拠点」としてのオフィスのあり方が求められています。
こうした環境の変化を踏まえ、私たちはオフィスを単なる「働く場所」ではなく、企業文化を醸成し、社員が自然にエンゲージメントを高められる場へと進化させる支援を強化していきます。そのために、企画、構築、運用の各フェーズで柔軟にかかわりながら、オフィスを起点とした価値創造に貢献していくことが私たちの使命だと考えています。

ア・ラ・カルト

■NTTファシリティーズ初となるファミリーデーに参画

2024年8月2日、NTTファシリティーズ(NTT-F)本社のあるグランパークで、NTT-F初となるファミリーデーが華やかに開催され、グランパークビルで働く社員とそのご家族を対象に、100名を超える参加者が集まりました(写真)。
イベントでは、2種類の長さのチューブとコネクタにより自由な発想でブロック遊びを楽しめる知育玩具で、小さな作品からダイナミックな作品まで、親子でクリエイティブな体験をしていただきました。また、約50名のお子様を7つのグループに分け、お子様が会社や仕事を楽しく体験できるよう、家族が働く職場での見学時間を長めに設定し、社長席に座しての記念撮影等を行ったそうです。
NTT-FグループのNSFエンゲージメントは、このイベントを総務サービスの一環と位置付けて、イベントの企画運営担当として事務局に参画しました。これまでのイベント運営経験に基づく豊富な知見・ノウハウを最大限に活かし、オペレーションの企画提案に多くのアイデアを盛り込み、皆さんの思い出に残る企画を提供でき、イベントの参加者だけではなく、企画運営にかかわった社員も自分が参加したかのように、とても喜んだとのことです。

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