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特集

NTT R&Dフォーラム2018(秋)特別セッション

共創による変革の加速と新たな価値創造

NTTグループの一員であるDimension Dataは、先日オーストラリアのシドニーに初めてのクライアントイノベーションセンター(CIC)を開設しました。この記事ではCICと、Dimension Data・同社のクライアントおよびパートナー・NTT研究所の三者が生み出した共創事例を紹介します。本稿は2018年11月29日開催のNTT R&Dフォーラム2018(秋)における、Dimension Data Australiaの最高技術責任者Debra Bordignon氏によるスピーチに基づいています。

Debra Bordignon

Dimension Data Australia

クライアントイノベーションセンター

2018年8月1日、Dimension Data Australiaではオーストラリアのシドニーに、初めてのクライアントイノベーションセンター(CIC)を開設しました(1)。当センターはクライアントとともにイノベーションを生み出すための施設として、またエンゲージメントモデルとして設立され、当社がOne NTTの一員として運営します。CICの目的は、クライアントと共創の関係を構築し、このデジタル時代における変革の加速、および新たな目的の達成と価値の創造を支援することです。当社とNTT研究所は、密接に連携し、協力体制をつくることにより、これを実現します。
当社のクライアントは、One NTTに注目し期待を寄せています。クライアントの多くはアナログ資産を豊富に所有して成功を収めた組織ですが、皆、将来の発展のために事業を変革しようとしています。つまり、過去の脆弱性のある技術・プロセス・企業文化慣習の改善に取り組んでいます。
クライアントは当社に、より戦略的なレベルのイノベーションについて踏み込んだ対話をすることを期待しています。また、デジタル資産を統合・管理する事業者として、クライアントのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速する支援を求めています。クライアントは、NTT研究所の有する素晴らしい資産を含め、当社が提供できるイノベーションとエコシステムの適用を通して、変化する市場において自らを差別化する機会を模索しています。ときには、共にデジタル経済を発展させ社会に利益をもたらす新たな価値創造を行い、新たなソリューションの商用化をめざすケースもあります(図1)。
当社がCICモデルでつくり上げたのは、一体感に満ちた体験です。当社はクライアントの参加を促すだけでなく、部門レベルで共同で大きくチャレンジする、招待制のフォーラムも開催しています。

社会のビジョン

CIC開設から4カ月経ち、すでに多数のクライアントと目的をともにしたイノベーションへの取り組みを行っています。NTT研究所の最先端技術を活用するユースケースにおいては、新たな思考と方向性が生み出されています。しかし当社は日本から研究開発技術を取り入れるばかりではありません。非常に重要なのは、当社のCICは価値創造のために、Society 5.0(2)の理念、およびNTTによるその表現としてのB2B2Xモデルの上に構築されています。未来の社会と人間性を形づくるテクノロジ使用のあり方に道徳と倫理の枠組みを与えるうえで、今こそが世界にとって真に重要なときです。そしてSociety 5.0は、全世界が向き合うべき理念でしょう。
社会に対するビジョンが必要とされています。それがイノベーションの向かう先を示すコンパスとなるからです。今日起こっていることに目を向けると、アプリケーションやインタフェースの爆発的増加、複合現実体験、身の回りすべてのインテリジェンス化、人々やモノのハイパーコネクテッド化などが浮かび上がります。そして、データがデジタルフロンティアの拡大を促進しています。これらの変化はすべて、インターネット・モビリティ・ソーシャル・クラウド・デジタルプラットフォームの基盤の上に構築されています。
しかし、今後15年間の動向は全く異なります。15年後に振り返ったとき、今日あることが実はデジタル黎明期の現象に過ぎなかったと気付くことでしょう。15年後の世界はどのような姿になっているでしょうか? それは物理世界とサイバー世界の高度な統合です。そこでは、インタフェースは自身であり、ジェスチャー、動きや思考がデータとなり、API(Application Pro-gramming Interface)となります。単純化された体験の裏には常に高度な複雑さが隠れています。SoR(System of Record)、SoE(System of Engagement)、そしてSoI(System of Intelligence)は、インテリジェントエッジから動的に駆動され、完全にトラストレスであり、まだ世の中に存在しないアーキテクチャ上の規則に従って動作します。これらすべてが推進されれば、文字どおり飛躍的な変化となります。これが今日のイノベーションを導くために指針となるコンパスです。クライアントとともに1歩、2歩、または大きな飛躍を遂げるとき、その基準となるシナリオはこの将来のビジョンなのです。

変革とイノベーションのテーマ

NTT R&Dフォーラムにおいては、驚くべき新技術を多数体験することができます。NTTの研究者たちが届けるユースケースのストーリーは、それらの実用的な用途を示唆するものです。フォーラムのテーマは、メディアとユーザインタフェース、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things)、セキュリティ、ネットワーク、そして基礎研究です。それぞれのカテゴリーにおいては非常に多くのユースケースが提案され、この将来のビジョンに向けて、NTTが何を提供するべきかの探求が行われます。どのテクノロジのタイプが同時期に生じ、いつ、どのように成熟するのかを解明するうえで役立つマッピングを作成しました(図2)。このマップのX軸上には、当初は線形で進行する発展が指数関数的になり、成熟技術から商用ソリューションへの技術的ブレークスルーのポイントが示されます。Y軸は、イノベーションの採用曲線のピークを表します。つまりソリューションの採用が普及初期(early majority)から普及後期(late majority)に移行する時期を意味します。
現在CICは、One NTTとしての活動において、今後5年間にかけて価値を提供できるテクノロジの開発を予定しています。当社が主導するイノベーションには2つのタイプがあります。その1つは、この一番下のラインにおいて、現在成熟しているがまだつながれていないあらゆるテクノロジの点を結び付け、クライアント自身がスピードアップして次なるステップへ移行することを支援する、簡素化と迅速性を創出することです。それはイノベーションとしては必ずしも胸躍らせる類のものではありませんが、とても重要なものです。
もう1つは、この「ビヨンド」と呼ぶ新カテゴリーに属する新技術を選択し、その成熟と市場への早期導入を加速することで、差別化と競争優位性をクライアントに提供することです。CICを通して求めるイノベーションはこちらを指しています。
DXに関しては、あらゆる組織が力を注いでいますが、その意義への理解が普遍的な一致を得ているとは思いません。DXが本当にもたらすものは何でしょうか? 当社グループ全体で、当社の研究と、世界中のクライアント組織との協力を通して得られた経験を集結しました。6つの重要な業績分野を特定するとともに、各分野において、まとまりや持続性の高い成功を達成する事業にみられる能力投資の意向を特定しました。これらすべてを合わせると、世界中で3.9兆ドルの技術投資が行われ、2020年における変革を可能にしました(図3)。
これらの業績分野および能力に対する、事業全体の変革およびイノベーションのゴールを明確にすることが重要です。ギャップはないでしょうか。過少投資となっている分野はないでしょうか。加速やディスラプションにより最大の利益が得られるのはどこでしょうか。これらを原則とするとき、イノベーションの優先事項は何でしょうか。価値を置く目標をどのように定め、どのように測定するのでしょうか。
これら投資能力のベクトルが何を意味するのかについて、簡単に説明します。図の下半分の3つは、デジタル経済への適応能力であり、企業のデジタル基盤の確立に関するものです。上半分の3つは、ビジネス変革能力に関するものです。新たな目的を達成し、組織の新たな価値と繁栄を創造するために必要な能力です。

図2 R&Dの目的を持ったイノベーションへの変換

図3 変革とイノベーションのための需要テーマ

デジタル基盤

もう少し詳しく述べると、一番下には「サイバーレジリエンス」があります。これはテクノロジ・プロセス・習慣・文化に組み込まれる、サイバーレジリエンスの新たなDNAを創造する能力です。「デジタルファブリックとIoE(Internet of Everything)」とは、ビジネスパフォーマンスのニーズに合致するITのハイブリッドインフラストラクチャへの移行、IoTを介したITとOT(Operational Technology)システムの結合、そしてIT組織のコストセンタからビジネスイネーブリングサービスへの移行です。最後に「データバリューマネジメント」です。その本質を例えればデジタルの心臓移植です。データが、インテリジェントでデジタル的に統合された企業の血流になるとともに、バランスシートの貴重な資産に変化することから、ほとんどの組織にとって本当に必要なものです。

ビジネス変革

ビジネス変革能力として、その1番目に挙げるのが「次世代企業」です。これは、比較的静的で直線的なサプライチェーンモデルから、動的なエコシステムのビジネスモデルへの移行を必然的に伴うものです。テクノロジの再プラットフォーム化には、これらのエコシステムのフローを調整するソフトウェア定義かつデータ駆動型のAPIが必要です。「仕事、知識、拡張知能」とは、知識労働者が、クリエーター・コミュニケータ・マネージャ・意思決定者のいずれであっても、自らの行動をサポートするために、相互の協力方法・データの視覚化および使用・認識エージェントの訓練などにおいて、もっとも効率的な自己を実現可能とするためのものです。最後の「デジタル世界の体験」とは、ステークホルダーと、その期待の変化する性質と、クライアントが自身の組織から得る体験についてです。デジタルが周辺環境に溶け込むにつれ、焦点はオムニチャネルからチャネルレスへとシフトします。そして、私たちの技術がステークホルダーのAIエージェントやパーソナルデータAPIとの双方向性を増大させていきます。これら6つのベクトルが、未来社会の像への地図を描きます。
クライアントが、上記のような変革への統合的なアプローチを持たないことは、珍しいことではありません。CICモデルを通じて、ギャップの特定と、それに応じたかたちでイノベーションを導くことができます。

NTT研究所のイノベーションによる恩恵

当社がNTT研究所および当社クライアントやパートナーとの関係を通して、創り上げることができたものから2つの例を、これからお伝えしたいと思います。これらは、B2B2Xモデルにおける適切なパートナーシップの出会いと、能力の興味深い融合を描き出しています。この中にはNTT研究所のB2B、当社自身と大学クライアントやパートナー、NTT地域事業会社、そしてもちろんXという利益を受けるエンドユーザが存在します。
ここで起こっているのは、1+1が3以上になる現象です。このコラボレーションとフローは、NTT研究所との双方向性がますます高まっています。なぜなら業界や市場の顧客からもたらされるユースケースがNTTの研究者にとって刺激的であり、研究プロジェクトについての思考を拡げるものだからです。さらに、NTT研究所と共有する新たな知的財産も生み出しています。これは価値共創の関係を育んでいるといえます。

FLAIM TrainerTM

最初の例は FLAIM TrainerTM(3)(図4、5)です。これがどのように生まれたかについてのストーリーは興味深いものですので、お伝えしたいと思います。Deakin大学はオーストラリアの革新的な大学で、その研究開発から力強い商業化の実績を持ちます。2017年半ば、そこではFLAIM Trainerというソリューションが生み出されました。これはVR(Virtual Reality)と触覚技術に基づく消防ソリューションで、自動車火災、ジェット機火災など数多くの状況を再現するシミュレーションシナリオを有するものです。Deakin大学は、Dimension Data Australiaと親密な関係にあるクライアント・パートナーです。2017年7月、Deakin大学の研修者数名を日本のNTT研究所に招き、新技術の調査を幅広く行いました。すべては具体的なものに焦点を合わせることから始まります。FLAIM Trainerで彼らがつくり上げたものに、訓練中の消防士の生体情報を監視する機能を追加するとどうなるでしょう。そこには大きな発展の可能性があるだろうことは明白でした。
こうしてFLAIM TrainerとNTT hitoe®のバイオセンシング技術、そしてDimension Data Australiaのデータと分析の専門技術を融合させるアイデアが生まれたのです。プロトタイプのプロセスがDimension Dataの管理のもと開始され、あっという間に心電図(ECG)センシングとVR体験を組み合わせたソリューションが出来上がりました。これは、煙や温度およびホースの水圧に関する環境データと並行して生理反応のリアルタイムな視覚化を実現するものです。
これを私たちは2018年2月に開催されたNTT R&Dフォーラム2018で紹介し、大きな反響を呼びました。FLAIM Systems Pty Ltd.(Deakin大学完全所有のスタートアップ企業)はそのころ、主要製品を商品化するための資金調達を行っていました。
筋電図(EMG)による筋活動の検知機能を追加すれば、このソリューションは大幅に強化され、市場でも唯一の存在になることをNTT研究所に提案・合意され、NTT研究所とDeakinの研究者による共同研究が実施されました。現在、hitoe®のセンシング技術とデータプラットフォームソリューションにEMG機能を追加しています。これにより消防の「危機状況への適合性」に関するインサイトと訓練方法が向上されるとともに、防衛・救急・労働者の安全性の問題が伴う重工業など、他の産業への適用も広がります。
このユースケースは、比較的迅速な価値への変換が行われ、本当のコラボレーションと双方向のIPフローを特徴としています。何より重要なのは、B2B2Xの視線を持ちつつ、市場に焦点を合わせることの重要性を忘れなかったことです。

図4 バーチャルに訓練し、リアリティを体験し、パフォーマンスを測定します

図5 FLAIM TrainerTMにおけるB2B2X共創

マスデータ観測と算師®

ここでもう1つの例をお伝えしたいと思います。この共同イノベーションは、NTT研究所、Western Sydney大学、Dimension Data Australiaの3者間で生まれました。このユースケースでは2つのかたちが示されます。1つは、さまざまな形式およびデータソースをまとめ、研究目的で使用できるようにする方法です。しかし同時に、NTTの秘密計算システム算師®の追加によって、クラウドデータのプライバシに新たな標準をもたらし、安全なデータ共有を可能とするポテンシャルを示しました。これは現時点の世界には明らかに欠けているものです(図6、7)。
まず、この共同イノベーションの経緯です。Western Sydney大学とDimension Data Australiaは、マスデータ観測というプラットフォームを共同開発しました。これはあらゆる形式のデータを受け入れることができる大規模なデータ管理プラットフォームで、オープンで協調的なプロジェクト、または個別のプロジェクト、いずれの調査にも利用できるものです。これに加えて、マスデータ観測プラットフォームは研究課題をクラウドソース化し、データを収集したい人々、または研究プロジェクトの対象になりたい人々の関心を引くことを可能とします。このプラットフォームにおいては、研究者とデータ提供者の両方が、研究インセンティブ用ビットコイン「RiByts」で報酬を受けることができます。このアイデアは、大規模な共同データドリブン研究エコシステムを推進することです。
2017年7月、Western Sydney大学から優秀な研究者数名を東京のNTT 研究所に招き、Deakin大学のときと同様、共同で作業したいものをたくさん見出したのですが、安全でマルチパーティのデータ計算プラットフォーム算師®のプロトタイプに触れたときには衝撃を受けました。これは最先端の技術であり、暗号化データ分析とセキュアマルチパーティデータ計算の分野においては、世界で卓越した実力を持つものだったからです。
私たちの熱意と高価値なユースケースの試験を行えるオーストラリアの業界パートナーとのつながりにより、NTTは算師®英語版の開発加速に同意しました。2018年1月には、私のチーム、Western Sydney大学およびDeakin大学からの専門家によるグループが知識移転のために東京に戻りました。その後算師®をオーストラリアに持ち帰り、オーストラリアのクラウドプラットフォームで稼働中のマスデータ観測との統合を行いました。すぐに機能の調査・テスト・ユースケースの実行を開始しました。以下のユースケースはその一例です。
マスデータ観測は、あらゆる種類のデータをまとめて調査可能にするための強力なプラットフォームです。しかし、課題は依然として残っています。それは機密データセットを複数の関係者から収集する際には、信頼性に関する重大な問題が生じることです。当然のことながら、調査関係者であれば誰もが知っているとおり、倫理委員会およびガバナンス委員会による承認を受けることに対する障壁となっています。したがって、これらのデータセットを安全に、確実に、そして経済的に分析可能とする方法が求められることになります。そこで私たちは算師®を等式に組み込みました。
ニューサウスウェールズ州の火災に関するデータが、火災の社会的・経済的・健康的影響の全体像を理解する目的でまとめられたことは、これまでありませんでした。ニューサウスウェールズ州には1000万人が住んでいます。この調査を行う以前のデータでは、1日に約5件の火災が起きていることが記されていましたが、実は20件でした。火災による死亡者数は10年間で約500人とされていましたが、実際には9000人だったことが分かりました。救急診療部は火災によるケガ人の数を1日数十人と報告していましたが、実際には213人以上でした。情報源があらゆる場所にありながら、火災の影響の本当の姿を描き出すために情報がまとめて扱われることはこれまでありませんでした。
Western Sydney大学の研究者は、これまで倫理審査による承認を得るために3年の歳月と何十万ドルもの費用をかけ、消防署、救急隊員、病院、死亡者登録、プライマリケアプロバイダ、保険会社、その他から11のデータセットを集めたうえで研究をしていました。
マスデータ観測を算師®とともに使用することで「トラストレス」技術環境が生成され、この課題を正確に、かつ違反の可能性なしに実行できることの証明に着手しました。この重要な点は、将来的に倫理委員会およびガバナンス委員会の信頼を得ることで、複数団体の機密データを扱うデータ調査のユースケースにおいて、承認プロセスの迅速化と大幅な時間とコストの節約がもたらされる可能性があることです。
算師®の仕組みについて簡単に説明します。ここでは11件の異なるデータソースが利用可能です。これらを算師®に取り込むと、それぞれのデータソースは暗号化され、複数のサーバに分割され、データが元のかたちで存在することはありません。研究者がそのデータにアクセスして統計分析を行う場合、データは1カ所に集められますが、復号化されることはなく、暗号化されたままの状態で分析されます。分析者が受け取るものはソースデータではなく出力データのみです。算師®がデータソースを元の状態のままにすることは決してなく、研究者が実際のデータに触れることはありません。これはトラストレスなセキュアマルチパーティ計算です(4)。
この能力がどんな新しい価値を生み出すことができるか、考えてみてください。これまで安全には実行できないと見なされてきた調査の可能性が開かれるのです。火災の影響に関するこのユースケースでは、建物や特定の電気器具の安全記録を確認できる新しい市民サービスを作成できます。また、初期対応者は火災による影響のスペクトルについてより多くを知り、最適な介入の選択肢を採用できます。消防士は彼らの訓練体制を改善でき、政府は防火政策と国民の意識を大幅に向上できます。このように、このユースケースは分かりやすく強力な一例でした。現在、特に医療政策や人口全体の介入において、算師®を活用するさらなるユースケースを模索しています。

図6 算師®による研究のイノベーション

図7 データの多元的宇宙を倫理的かつ安全に調査するためのB2B2X共創

まとめ

以上の例をもって、CICを作成した理由と、そこから得られたアウトプットを示しました。現在、海外のNTTグループ各社から、B2B2Xを使用して自社市場およびクライアントとの戦略的エンゲージメントを推進するNTT研究所と連動するためのテンプレートとして、CICモデルを使用することに関心が寄せられています。
冒頭の話に戻ると、当社クライアントやパートナーがOne NTTに求めるものやイノベーションの関係性(変革の加速による市場における差別化と優位の獲得や、パートナーシップを通じた新たな価値創造)について、クライアントとともに期待の高みへと向かい、学び、進化しています。
最後に、組織の変革とイノベーションのニーズについて考えるとき、真に1つとなった「One NTT」に皆様は何を望むでしょうか? 何が望めると思われますでしょうか? すべてが1つになったとき、本当に想像以上のものが利用可能になることでしょう。

■参考文献
(1) https://www.dimensiondata.com/en/news/dimension-data-launchesfirst-client-innovation-centre-to-bring-cutting-edge-tech-down-under
(2) http://www8.cao.go.jp/cstp/english/basic/5thbasicplan.pdf
(3) Levin・Chessum・Mullins・吉橋・林:“消防士と地域社会の安全確保に向けて―FLAIM TrainerTMとhitoe®の統合、”NTT技術ジャーナル、Vol.30, No.12, pp.12-15, 2018。
(4) 北條・山口・西山・高橋・宮島・廣田・西田・橋本:“秘密計算システム 算師®の試用提供、”NTT技術ジャーナル、Vol.31, No.2, pp.19-22, 2019。