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特集 主役登場

NTTグループのSmart Infraへの取り組み

社会インフラを支えるソーシャルプラットフォームをめざして

箱石 隆
NTTインフラネット
Smart Infra推進部 プラットフォーム戦略担当 兼 ビジネスアライアンス担当
担当課長

地図コンテンツやGIS(Geographic Information System)を活用し、企業が保有する位置に関する情報を測定・比較・分析し企業活動に活かしていくLI(Location Intelligence)技術が、設備管理業務の効率化を中心に広く普及して久しいですが、特にここ数年、衛星受信機の高度化・低コスト化や自動処理技術の進展による一段の利便性向上と、スーパーシティ構想・自動運転といった近未来ユースケースとの相性の良さも相まって、国内外で急速な市場成長が期待される注目分野になっています。
私が所属するNTTインフラネットSmart Infra推進部では、上述したLI技術とNTTグループが強力に推進しているデジタルツインコンピューティング(DTC)技術との要素を組み合わせた"Smart Infraプラットフォーム"の構築に取り組んでいます。高解像度の航空写真を元に高精度な3次元地理空間情報基盤を整備し、そこで管理する道路縁やマンホールといったGCP(Ground Control Point)で、従来、会社単位もしくはシステムごとにバラバラだった位置基準を合わせることがベースの提供価値です。それは本プラットフォームに流通するすべてのデータに統一的かつ高精度な3次元位置情報を付与することが可能となり、インフラ領域であれば、設計・施工協議の効率化や共同施工を増やすなどのデジタルトランスフォーメーション(DX)をNTTグループ内外へ広く展開していくことをめざしています。
一方、高精度な3次元地理空間情報基盤を面的整備するには、航空写真の調達費や制作コストが莫大であり効率化が必要です。また扱うデータもオープンなものから設備情報などのセキュアなものまで幅広くその多段管理の仕組みが求められます。ほかにも、汎用的なAPI(Application Programming Interface)の実装、埋設物を正確に把握する地中探査技術の活用、MMS(Mobile Mapping System)の画像・点群データによる変状点検出技術などが本プラットフォームを構成するうえで喫緊の課題です。そこでこれらの技術課題に対して持株会社やリサーチ会社とも密に連携し、研究所技術の活用や国内外有望企業との協業などの技術オプションをまとめていく「コーディネート」が大変重要であり、大きなやりがいを感じています。課題設定後のマーケットリサーチで多くの企業や技術、また、とがった技術者たちと接点を持てることも魅力ですが、実証フェーズで試行錯誤しながら将来の技術活用イメージを具現化していく工程がもっとも楽しくもあり“肝心”だと考えています。
今後も顕在化する技術課題に対して取り組みを続け、Smart Infraプラットフォームが広くDXに寄与し社会課題の解決につながるように日々励んでいきたいと思います。