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特集

新たな環境エネルギービジョン

NTTドコモ「2030年カーボンニュートラル宣言」を発表

日本政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、世界のみならず日本企業でもカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速しています。2021年9月28日、NTTドコモは自社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年までに実質ゼロにする「2030年カーボンニュートラル宣言」を発表しました。また、自社のみならず、お客さま・パートナー企業とともに社会全体のカーボンニュートラルに貢献するために、「あなたと地球を変えていく。」というスローガンを掲げ、カーボンニュートラルに向けた取り組み「カボニューTM」を開始しました。

中島 有希(なかじま ゆき)/八木 文香(やぎ ふみか)
福田 幸子(ふくだ さちこ)
NTTドコモ

はじめに

NTTドコモは経営の中心にサステナブルを位置付けています。その中でも気候変動問題への対応を企業の重要な課題とし、2021年2月に国際的な気候変動イニシアチブSBT(Science Based Targets)1.5℃目標の設定を取得するなど、自社の事業で排出する温室効果ガスの削減に従来から取り組んできました。さらに、サステナブルな社会を実現するために、自社のみならず社会全体の温室効果ガス削減に貢献するためのドコモならではの取り組みとして今回「カボニュー」*1(図1)を開始しました。

*1 「カボニュー」、「グリーン5G」、「ドコモでんき」、「dカード」、「d fashion」、その他掲載されている商品・サービス名は、株式会社NTTドコモの商標または登録商標です。

自社:「2030年カーボンニュートラル宣言」に向けた取り組み

「2030年カーボンニュートラル宣言」*2に向けた自社での取り組みについて図2に示します。
(1) ネットワークの省電力化
基地局のスリープ機能の高度化や、5G省電力装置などのネットワークの消費電力を削減する技術開発や設備導入を推進しています。
消費電力の削減の取り組みについて以下3つを紹介します。
・既存高密度BDE(Base station Digital processing Equipment)への装置集約:既設の高密度な基地局装置(高密度BDE)へ集約することによる各種装置撤去で消費電力を削減します。
・HVDC(高電圧直流給電)整流装置の導入:HVDC対応のICT機器を導入し、従来の交流給電システムに比べ送電ロスが少なく高効率な高電圧直流装置(HVDC整流装置)からの直送供給とすることで消費電力を削減します。
・インテリジェント空調導入、高効率な空調設備への更改:自己学習機能を持つ空調制御システムを積極的に導入し、最適な空調環境を構築することで消費電力を削減します。また、機械室空調機を高効率な空調へ更改することで消費電力を削減します。
(2) 再生可能エネルギーの導入
NTTアノードエナジーと連携し、ドコモ専用の太陽光発電所等から直接調達した再生可能エネルギーの導入を推進します。また、再生可能エネルギー指定の非化石証書の購入なども実施し、事業活動で消費する電力の実質再生可能エネルギー比率を100%にします。
(3) IOWNなどのイノベーション開発
2030年までにIOWN光電融合技術を導入するほか、次世代ネットワーク、情報処理基盤などにおける温室効果ガス排出量の削減に寄与する技術の開発により、通信の高速化や省電力化を推進します。

*2 カーボンニュートラル:二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から森林などによる「吸収量」を差し引いて、温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすることを指します。通信業界は多くの電力を消費して温室効果ガスを排出していることから、環境問題に対する責任の大きさが明らかになっています。

バリューチェーン:温室効果ガス排出量を削減する取り組み

温室効果ガス排出量を削減する取り組みについて図3に示します。
(1) ドコモショップのグリーン電力化
自店舗に設置した太陽光パネルからの直接給電や、電力会社が提供する再生可能エネルギープランの活用などにより、ドコモショップで消費する電力の実質再生可能エネルギー比率100%をめざします。
(2) サプライチェーンの温室効果ガス排出量を削減
ネットワーク装置や端末などのサプライヤーとの連携により、サプライヤーの温室効果ガス排出量の削減に取り組みます。また、サプライヤーから環境に配慮した製品を積極的に導入し、バリューチェーンの温室効果ガス排出量を削減します。

お客さま・パートナー企業:ドコモとともに社会全体の温室効果ガス排出量を削減する取り組み

(1) 再生可能エネルギーを活用したサービス等の展開
ドコモの総電力消費量に占める実質再生可能エネルギー(再生可能エネルギー指定の非化石証書の利用を含む)の比率が、ドコモの総契約者数に占める5G契約者数の比率よりも上回ることで、温室効果ガスの排出をしない環境に配慮した5Gにします。2021年10月1日から、5Gを「グリーン5GTM」として展開しています(図4)。
また、2022年3月(予定)から提供を開始する「ドコモでんきTM」において、実質再生可能エネルギー(再生可能エネルギー指定の非化石証書の利用を含む)を積極的に活用した地球にやさしいプラン「ドコモでんき Green」を提供します(図5)。
(2) 環境に配慮した新たなサービスの提供
環境に配慮した新たなサービスとして、「THEOグリーン」の提供(図6)や「ポイント投資」の投資対象テーマに「SDGs/ESG」を追加(図7)、また「d fashion®」で環境に配慮したブランド・商品の特設コーナーを設置(図8)しました。パートナー企業の環境配慮型商品・サービスをドコモが連携して提供し、お客さまにご利用いただくことで、社会のカーボンニュートラルを推進します。
(3) カボニュープラットフォームの提供
お客さまの温室効果ガス削減への貢献度を「見える化」するなど、誰でも楽しくカーボンニュートラルに取り組む活動に参加するためのプラットフォームを今後提供します。
また、「カボニュー」の取り組みに賛同いただけるパートナー企業と、プラットフォーム上で提供するコンテンツの検討を進めていきます。

今後の展望

今回、「カボニュー」の取り組みを通じて、自社の「2030年カーボンニュートラル宣言」のみならず、お客さま・パートナー企業と一丸となって「あなたと地球を変えていく。」をスローガンに地球全体のカーボンニュートラルに取り組んでいくことを発表しました。
環境問題解決への貢献はドコモの企業使命の1つであるといえることから、環境分野に取り組み、カボニュープラットフォームを広げ、温室効果ガス削減にチャレンジしていきたいと考えています。そして、地球をグリーンにしてサステナブルな社会を実現していきます。

(左から)中島 有希/福田 幸子/八木 文香

「あなたと地球を変えていく。」をスローガンに大きなムーブメントを起こし、社会全体のカーボンニュートラルに貢献することでサステナブルな社会を実現していきたいと思います。

問い合わせ先

NTTドコモ
サステナビリティ推進室
E-mail csr@nttdocomo.com