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特別企画

NTT横須賀研究開発センタの50周年

NTT横須賀研究開発センタ(横須賀通研)は1972年11月に日本電信電話公社第3の研究所として発足し、2022年に50周年を迎えました。これを記念し、横須賀通研では2022年12月9日に記念イベントを実施しました。記念イベントでは横須賀市市長上地克明氏、衆議院議員小泉進次郎氏からご挨拶をいただき、また多くの横須賀市内を拠点とする企業、団体の幹部の皆様にご参加いただき、地域の絆を再確認しました。

大野 友義(おおの ともよし)†1/唐澤 圭(からさわ けい)†2
濱田 貴広(はまだ たかひろ)†2/相原 裕之(あいはら ひろゆき)†2
岡野 靖(おかの やすし)†2/平田 和男(ひらた かずお)†2
阿部 裕文(あべ ひろふみ)†2/井沢 味奈子(いざわ みなこ)†2
須沢 恭子(すざわ きょうこ)†2/樋口 功一郎(ひぐち こういちろう)†2
北原 智加(きたはら ちか)†2
NTTサービスイノベーション総合研究所 所長†1
NTTサービスイノベーション総合研究所†2

はじめに

天候にも恵まれ、NTT横須賀研究開発センタ50周年記念講演会が2022年12月9日に開催されました。当日は横須賀リサーチパーク(YRP)や横須賀市近隣の企業・団体と横須賀通研OBを中心に約100名のご来賓にご参列いただき、横須賀通研の過去、現在の事跡を紹介するとともに、改めて地域の絆を深め、地域連携して社会の発展に貢献していくことを確認する場となりました(写真1、2)。

記念講演会

記念講演会では冒頭の大野友義NTTサービスイノベーション総合研究所所長の挨拶において横須賀通研の紹介と、記念映像の上映を行いました(写真3)。横須賀通研は1972年11月に開所し、当時の米澤滋電電公社総裁によって「データ通信のための情報処理方式、大容量伝送方式、海洋通信方式、人工衛星通信の利用開発、移動通信の研究実用化の5テーマを掲げて研究を行う」と宣言されました。これらのテーマはDIPSという日本製汎用電子計算機の普及、光による基幹通信網の構築、日本初の国産通信衛星の打ち上げ、自動車電話からスマートフォンへとつながるモバイル通信の発展というかたちで世の中に広がっていきました。また横須賀通研で花開いた技術として、画像符号化技術があります。画像符号化技術は古くはFAXの研究開発に始まり、1980年のG3FAX国際規格制定へと結実し、これが2012年にIEEEマイルストーンを贈呈されました(写真4)。続く2014年には1975年に開発した高圧縮音声符号化技術(Line Spectrum Pair:LSP方式)がIEEEマイルストーンを贈呈されました(写真5)。これは1991年に米国連邦政府音声符号化標準規格として採用され、1999年の第3世代携帯電話の3GPP、3GPP2にも組み込まれた実績が評価されたことによります。日本企業では過去41件がIEEEマイルストーンに認定されており(2022年12月時点)、東海道新幹線や鉄道の自動改札、太陽電池、VHSビデオ、自動車用カーナビなど、近代化の基盤となった技術や業績が認定されています。

また1990年代にはNTTが持つ画像映像符号化技術の積極的な標準化活動が行われました。静止画符号方式JPEGは1994年にISOのWG議長として国際標準化、映像符号化は1990年にITU-TのWG議長としてH.261を国際標準化、デジタル放送のベースとなっているMPEG-2は、ISO/IEC JTC1/SC29議長として国際標準化をリードし、米国エミー賞技術開発部門を受賞しました(写真6)。

続く上地克明横須賀市市長からはアフターコロナ、ウィズコロナを見据え、サイバー空間とフィジカル空間の融合による解決のアプローチへの期待(写真7)、小泉進次郎衆議院議員からはサイバー空間における差し迫った脅威であるサイバーセキュリティに対応する人材育成を横須賀を中心に担っていく構想についての講演がありました(写真8)。

続いて木下真吾NTT人間情報研究所所長からは、横須賀通研の現役代表として、東京2020オリンピックにNTT研究所が一丸となってチャレンジした成果の紹介(写真9)、また次の2025大阪・関西万博に向けた取り組みを若手5人が語りました(写真10〜14)。若手による大阪・関西万博に向けた取り組み紹介は来賓の皆様の評判が良く、特に若手が元気よく研究に取り組んでいる姿に満足した様子でした。

最後に川添雄彦NTT代表取締役副社長から来賓の皆様への感謝の辞が述べられ、盛況のうちに講演会は終了しました(写真15)。

デモ展示

講演会の開始前、懇親会開催時間中などに、来賓の皆様に分かりやすい展示を各研究所2点程度ピックアップし、デモ展示を行いました。展示内容は表のとおりです。
NTT R&Dフォーラムには参加できなかった来賓の方々も多く、NTT R&Dの最新の研究内容に触れていただくいい機会となりました(写真16)。

懇親会

懇親会では岡敦子NTT常務執行役員研究企画部門長の乾杯のご挨拶の後、OBの皆様をはじめとする来賓の皆様との昔話に花が咲きました(写真17、18)。

おわりに

前回の40周年は東日本大震災の直後ということもあって自粛ムードの中での開催でしたが、今回は新型コロナウイルス感染症の流行が拡大を迎えつつある状況下、参加にあたっては事前に抗原検査をお願いするなど感染対策には細心の注意を払って実施しました。
このことは横須賀通研のYRP地区、ひいては横須賀市におけるプレゼンスの向上、結びつきの強化に大いに役立ち、将来連携して大きな成果を創出する礎にできたのではないかと確信しています。

(上段左から)大野 友義/唐澤 圭/濱田 貴広/相原 裕之
(中段左から)岡野 靖/平田 和男/阿部 裕文/井沢 味奈子
(下段左から)須沢 恭子/樋口 功一郎/北原 智加

NTT横須賀研究開発センタは、今後も社会課題の解決と新たな価値創造を通じて人々の豊かで幸福な社会の実現に取り組んでいきます。

問い合わせ先

NTTサービスイノベーション総合研究所
企画部
TEL 046-859-5003
E-mail sv-jousen-koho-ml@hco.ntt.co.jp