グループ企業探訪
「dDREAMS」でオフィスワークの効率化と働き方改革を実現
ドコモ・システムズはNTTドコモのビジネスインフラに関する事業で培ったスキル・ノウハウを活用し、オフィスワーク向けクラウド型企業情報システム「dDREAMS」で企業のOA業務の効率化を推進する。今回は同社の西川清二社長に「dDREAMS」の特長や今後の展開についてお話を伺った。
ドコモ・システムズ 西川清二社長
オフィスワーク向けクラウド型企業情報システム「dDREAMS」
事業概要を教えてください。
ドコモ・システムズは、1985年、NTTをはじめとする4社の合弁により設立され、その後、2000年にNTTドコモの情報システム関連の戦略子会社としてドコモグループの一員となりました。
以降、最先端のモバイルサービスを提供するための強固なビジネスインフラや、spモードなどの世界最大級のIT基盤を、確かなセキュリティ環境のもとで企画、開発、運用しています。
さらに、もう1本の柱となる事業が、ドコモのビジネスインフラに関する事業で培ったスキル・ノウハウを活用した、一般企業様向けクラウドソリューション事業です。その中心にあるオフィスワーク向けクラウド型企業情報システム「dDREAMS」は現在、NTTグループをはじめとする約23万人を超えるビジネスユーザにご利用いただいています。
「dDREAMS」事業について教えてください。
オフィスワーク向けクラウド型企業情報システム「dDREAMS」の事業は、NTTグループ向けと一般企業様向けの2つに大きく分かれます。
「dDREAMS」は、もともとドコモが自社開発し2002年4月に導入した企業情報システムです。その後10年以上にわたり開発・最適化を繰り返し、ドコモグループ6万人の日常業務になくてはならないシステムとしてグループの発展を支えてきました。そして2014年7月にクラウドサービスとして提供を開始し、現在、NTTグループ企業57社、一般企業176社にご利用いただいています。
特にNTTグループ企業の事業運営に貢献するため、次のような観点で、今日もたゆまぬブラッシュアップを重ねています。
・事業環境の変化に対応するITガバナンス強化
・高度化・多様化する脅威に対する統一的かつ高度なセキュリティ強化
・厳格かつ統一的なコンプライアンス強化
・グループ内IT投資重複の徹底排除によるコスト効率化
・ワークスタイルの高度化による業務効率の向上
「dDREAMS」の特長を教えてください。
「dDREAMS」の特長は、オフィスワークの効率化をお客さま目線(利用者観点)で徹底的に追求し、間接業務の削減によるコスト削減、申請・承認フローの透明化によるコンプライアンス強化などを実現するサービスだということです。さらに、モバイルキャリア「ドコモ」であることの強みを活かして、スマートフォンやタブレット端末から、場所を選ばずどこでも使用できる利便性に優れていることです。
「dDREAMS」は、“データの発生時点で”、“データの発生元が”、“責任をもってデータを投入する”、これが究極の業務効率化につながるというコンセプトを基に構築されています(図1)。例えば、社員の作業延長線上で自然にデータ入力が完了する、つまり自分のスケジューラに予定(出張、勤務時間、休暇等)を登録することにより、リアルタイムにワークフローを介して申請、承認され、その後旅費が支払われ、給与計算が行われ、休暇管理が行われる仕組みになっています。ドコモグループにおける業務効率化、コスト削減効果の一例を紹介しますと、旅費申請関連業務の稼働時間は52%減、支払い業務等の業務委託コストは73%減、電子化による紙コストは96%減という実績があります。
図1 「dDREAMS」コンセプト
「dDREAMS」各単体機能を一般企業へ展開
具体的な取り組みを教えてください。
「dDREAMS」は、2014年7月にクラウドサービスとしてスタートしましたが、まずはNTTグループの次期共通系システム(業務フロント・人事給与)として最優先に提案させていただきました。一般企業向けの展開は2017年から本格開始しています。
さらに、2018年からは「dDREAMS」各単体機能を【sシリーズ】として提供を開始しました。
【sシリーズ】
・仮想デスクトップサービス(s-WorkSquare)
・クラウド型Web会議システム(sMeeting)
・統合セキュリティサービス(s-WorkProtector)
・労働時間適正化システム(s-WorkController)
これにより、お客さまが求める機能だけを手軽にご利用いただけるようになりました。
今後の展開を教えてください。
NTTグループ向けについては、未導入の会社へも引き続き柔軟に提案を続けていきます。また、すでにご利用いただいている会社につきましても、その業務運営について徹底的に考察し、効率化を追求し、お客さまにとって最適な提案に取り組んでいきます。
既存システムと並行してご利用いただいているお客さまのさらなる業務効率化に貢献するためには、「dDREAMS」の大きな強みである、「スケジューラ起点の業務執行」のメリットを提案し、“「dDREAMS」の利用深化”による効率化、業務適正化を実現するお手伝いをさせていただきたいと考えています。
また、「働き方改革」の1つであるテレワークの推進でも貢献したいと考えています。テレワークに必要な情報基盤(仮想デスクトップサービス)、Web会議、ビジネスチャットの積極的なご利用などを提案していきたいと思っています。
一般企業様向けの展開としては、前述の「働き方改革」推進に加えて、巧妙化するサイバー攻撃対策に貢献していくことです(図2)。NTTグループ・ドコモグループで培った力(スキル・ナレッジ)。それは、NTTグループ・ドコモグループ23万5千人が利用するセキュリティ基盤そのものです。
標的型メールに代表される巧妙化する攻撃手法は日々進化し、多様化しています。これに追随するには限りない投資と高い技術および、24時間365日の運用力が必要であり、もはやセキュリティ対策を一企業で実施することは限界に至っています。
セキュリティに100%はありませんが、お客さま企業が「dDREAMS」と同じ傘の下に入っていただければ、NTTグループと同じ品質のセキュリティレベルを保証し、将来にわたり、インターネットの脅威からの安心をご提供できると確信しています(図3)。
将来のめざすところは何ですか。
将来的な「dDREAMS」のめざすところとして、「日本のセキュリティゲートウェイ」「テレワークソリューションのトップカンパニー」となること。つまり、セキュリティとテレワークで日本社会を牽引し、貢献することです。この大きな夢のために、社員1人ひとりが日々、最新のIT専門力を磨き上げ、研さんを重ねています。
最後に、これからも安心・安全なサービスを提供するために、営業~開発~運用といった担当横断マネジメントを実施し、常にお客さま目線でサービス品質の持続的向上、安定稼動の継続を実施していきます。
図2 お客さまのサイバー攻撃対策に貢献
図3 NTTグループと同じ品質のセキュリティレベルを保証
担当者に聞く
OA業務効率化をめざすNTTグループの「dDREAMS」の導入を支援
クラウド事業部
プロモーティング部 アカウントサービス担当
担当課長 九鬼 和子さん
九鬼和子さん
ご担当されている業務について教えてください。
「dDREAMS」主管の事業部である弊社のクラウド事業部、その中で私は現在、NTTグループを担当する営業部に所属しています。特にNTTグループの中でも持株帰属系会社様を担当させていただいています。
2002年にドコモがグループ全体の業務改革の観点から「dDREAMS」の前身であるDREAMSを構築し、当時私はドコモグループ内で利用を浸透させるためにシステムの機能や使い方の説明をする仕事をしておりました。社員が慣れるまでは本当に大変でしたが、3年くらい経つと「DREAMSがないとスケジュールも精算もできない」といった声が聞こえてくるほど、ドコモグループの中ではDREAMSがないと生活できないところまで広めることができました。
2016年からこの「dDREAMS」を本格的にNTTグループに導入いただくことになりましたが、 NTTグループ内では独自に構築されたソフト等が多岐にわたることから、機能がすべてそろったフルセットではなく、フロント機能といわれているスケジューラをメインとしてご利用いただくという取り組みになりました。
2019年5月の時点で、今後の予定も含めてNTTグループでは57社に導入、約16万人の社員の皆様にご利用いただいています。
NTTグループへの「dDREAMS」導入のお話を伺えますか。
2016年、NTTグループの次期共通系システム(業務フロント・人事給与)として、スケジューラ・勤務管理、給与支払いをグループの共通システムとしてご利用いただくというプロジェクトがスタートしました。
システムの切替は大きな作業であり、エンドユーザの方にも大きな負担がかかります。最初のお客さまから約1年半程度かけて各社には順次、システムを導入いただきました。弊社は社員数も少ないのですが、全社を挙げてお客さまの拠点に出向いて現地支援を行い、少しでもスムーズにご導入いただけるよう工夫をいたしました。
とはいえ、いろいろトラブルもあり、大変ご迷惑をおかけしましたし、やはり使い慣れたシステムが一番いいに決まっていますから、当初は多くの苦言をいただきました。それでも最近は少しずつ、「いいよね」と言ってくださるお客さまが増えてきました。ドコモグループでも「空気のように」なるまでには5年くらいかかりましたから、少しずつ便利に使っていただけたらありがたいです。
最近ではセキュアな環境で「働き方改革」を実現するために「dDREAMS」の基本サービスだけではなく、「仮想デスクトップ」「チャット機能」など、オプションサービスにも目を向けていただけるようになっています。
「dDREAMS」をさらに広めていくうえで課題はありますか。
同じNTTグループ会社であっても、勤務形態や給与体系はかなり異なります。そのため、クラウドサービスとはいえ、個別に調書を作成いただき、その調書をベースとしてサービスを提供するというかたちになります。規模にかかわらずある程度のカスタマイズが必要になるので、これをいかに効率良く行うのかが課題になっています。
また近年、NTTグループの中では新たな会社の立ち上げや、グループ統廃合による再編成が非常に多く、私が担当している中でも、エネルギー系の会社やメディカル系の会社、街づくり事業を行う会社ができたりしています。今までは「dDREAMS」の導入には半年程度の時間をいただいていましたが、会社の設立がスピーディになり、4月にお話をいただいて、「九鬼さん、7月から使いたいんだよ」と相談を受けることもあります。「他のシステムではなく“dDREAMS”を!」というご要望を頂戴し嬉しいところではありますが、私どもとしてはお話をいただいてから導入までの期間の短さが目下の悩みどころとなっています。
OA業務をグループ全体で「dDREAMS」に共通化することによって、 統廃合や再編成で社員が新しい会社に行ってもそのまますぐ業務をスタートできて、社員のストレスを軽減するばかりか業務の効率化にもつながること、これが当初の次期共通系のあるべき姿でもあるため、なんとかご要望にこたえられるよう奮闘しています。
今後は、組織や制度の変更にいかに柔軟かつ迅速に対応できるシステムに進化していくかということが NTTグループ向けの「dDREAMS」の課題だと思っています。
今後の展望について伺えますか。
現在の「dDREAMS」はアプレット版が標準となっておりますが、先々を見据えて、インストールやアップデートが不要な、Webベースの仕組みに徐々に変更していきたいと考えています(図4)。インフラに依存せず、どこにいても携帯電話とタブレットがあれば作業ができる、そういう環境をご提供できれば、と考えています。
私が担当しているNTTグループのお客さまは、いろいろな優れた技術をお持ちです。「うちの技術を“dDREAMS”で活用できないだろうか?」というお話をいただくこともあり、開発のメンバーと一緒にデモを拝見したりしています。私たちがご提供するサービスをただご利用いただくのではなく、お互いにWin-Winになるような「橋渡し役」ができたら、なにより嬉しいです。NTTグループの方々には時にはご迷惑をかけ、お叱りをいただくこともありますが、そこから多くを学ばせていただいています。今後もさらなる信頼関係を築いていけるよう、お客さまのお困りごとに対して、目先のことだけでなく、将来まで見据えた提案ができるような営業担当になりたいと思いますし、チームのメンバーも同じ思いで、日々研さんしています。
図4 昨年12月にリリースしたWeb版スケジューラ
ドコモ・システムズ ア・ラ・カルト
富士山環境保護活動
ドコモ・システムズでは社員やビジネスパートナーとその家族が参加する、富士山環境保護活動を約20年続けており、今年は富士宮市の西臼塚で外来種の駆除と森づくりの活動を実施(写真1、2)。単に作業するだけではなく、その作業にどのような意味があるのか講師に解説していただくミニセミナーもあり、学びのある活動ということで子どもたちからも喜ばれているそうです。
写真1
写真2
桜の写真の投稿コンテスト
毎年、春になると社内コミュニケーションサイト「oasis」で桜の写真の投稿コンテストが開催されています(写真3、4)。旅先でふとスマホで撮影したような写真もある中、専門家と見まがうほどの写真も投稿され、周囲の社員から「見ました!」と声をかけられたりするなど、社員どうしのコミュニケーションにも一役買っているそうです。
写真3
写真4