NTT技術ジャーナル記事

   

「NTT技術ジャーナル」編集部が注目した
最新トピックや特集インタビュー記事などをご覧いただけます。

PDFダウンロード

from IOWN Global Forum

IOWN Global Forum 第7回メンバミーティングと活動の報告

2024年10月8〜11日に、IOWN Global Forum(IOWN GF)は、台湾・台北にて、第7回メンバミーティングを開催しました。世界各国の約90組織から約370名が現地参加し、ユースケース、PoC(Proof of Concept)、技術ロードマップなどに関する活発な議論がなされました。また、10月9日には、2回目となるIOWN GF公開イベント「FUTURES」も併催され、メンバ企業・団体による12件のIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)技術展示が実施されました。合計の現地参加者は約500名にのぼり、大変な盛会となりました。本報告ではメンバミーティングの模様と最近のIOWN GFの活動について詳しくお伝えします。

IOWN GF 第7回メンバミーティング(台北)開催報告

IOWN Global Forum(IOWN GF)では、毎年秋に全メンバ向けのメンバミーティングを開催しています。このミーティングでは、SC(Steering Committee)/WG(Working Group)/ TF(Task Force)における技術・ユースケースの議論、進捗報告や次年度計画の議論などを行っています。また、2024年4月にもアニュアルメンバミーティングを開催し、年間活動実績の共有、貢献メンバの表彰や技術・ユースケース議論などを行っています。これら年2回のメンバミーティングに加えて、年2回の技術・ユースケース検討ワークショップも実施しています。
今回、2024年10月8〜11日にかけて、第7回となるメンバミーティングを台湾・台北にて開催しました(写真1)。現地には世界約90の企業・組織から、約370名の現地参加者を迎え、さらに100名以上のオンライン参加者も加わって活発な議論がなされました。
オープニングメッセージでは、President and Chairpersonの川添雄彦氏(NTT)が、フォーラムの成果に対するメンバの努力に感謝の意を表しました(写真2)。また、2024年のオリンピック・パラリンピックの協力や、Open APNアーキテクチャに基づいた台湾と日本を結ぶ世界初のIOWN国際APN(All-Photonics Network)の実現など、近年の成果についても言及しました。
続いて、台湾のデジタル大臣に就任されたYennun Huang氏が、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)技術がデジタル革命に果たす重要な役割について、洞察に富んだスピーチを行いました。
さらに、Chunghwa TelecomとGoogle Cloudから2つの基調講演がありました。IOWN GF Directorを務めるRong-Ruey Lee氏(Chunghwa Telecom)は、“Collaborations and Activities Towards IOWN ‘s Visions”と題した基調講演を行い、IOWN GFの目標に対するChunghwa Telecomの貢献について、国際接続をはじめとするAPNとその適用アプリケーションなどの最新情報を伝えました。
また、Google CloudのNikhil Kelshikar氏は、“Building a Highway to Google Cloud with IOWN”と題したビデオプレゼンを行い、IOWNテクノロジを活用してクラウド間接続した場合にGoogle Cloudが享受する、低遅延、大容量、柔軟性というメリットについて概説しました。
今回のメンバミーティングでは、初めて「Proof of Concept(PoC)of the Year」賞が導入されました。この賞は、lOWN技術の実行可能性、価値、およびパフォーマンスを実証した年間最優秀Recognized PoCを表彰するものです。2024年の受賞PoCである「NTT’s APN Proof of Concept」 プロジェクトが発表され、PoCチームが表彰されました(1)
会議全体を通じて、SC/WG/TFのさまざまなメンバによる議論およびワークショップが開催され、重要な決定および議論が加速されました。また、IOWN GFのメンバ間交流のためのさまざまなネットワーキングの機会が設けられ、さらにコミュニティ形成が促進されました。
次回のアニュアルメンバミーティングは、2025年4月22〜25日にスウェーデンのストックホルムで開催され、IOWN GF設立5周年を記念する内容となる予定です。

FUTURES台北2024

2024年10月9日にメンバミーティングに併催して、公開イベント「FUTURES Taipei」が開催されました。FUTURESの目的は、IOWN GF外部も含めたIOWN関連技術関係者にIOWN 技術開発やユースケース創出の状況や展開を伝えるとともに、メディアやアナリストをとおしてIOWN GFの取り組みの重要性やインパクトの認知を広げることで、IOWNのエコシステムを拡大して普及を加速することです。
今回のFUTURESには、450人以上の対面参加者と70人以上のオンライン参加者が参加し、IOWN技術がビジネス戦略とイノベーションに与える影響についてのプレゼンや、メンバによる技術展示が設けられました。台湾経済部Der-Sheng Lin氏がゲストスピーチを行い、IOWNによる通信インフラやクラウドサービスがもたらす価値と、台湾産業にとって重要な役割を果たす国際APNによる連携への期待を示しました。
また、三菱UFJ銀行、NetApp、Sony、TBSなどの企業からの講演者によるパネルディスカッションでは、IOWN GFが最近発表したさまざまなユースケースのニーズに対してIOWN技術が適用できる段階であることが議論されました。
技術展示は、今回初めて、メンバ企業から12件のライブデモや情報展示を行いました。APN、データセントリックインフラストラクチャ (DCI)、IOWNモバイルネットワーク(IMN)、光ファイバセンシングなど、各社が開発するIOWN技術について展示説明され、IOWN GF内外にアピールする絶好の機会となりました。次の公開イベントは2025年4月のアニュアルメンバミーティングに併せてFUTURES Stockholmを開催予定です。
なお、今回のメンバミーティングおよびFUTURESの成功は、Chunghwa Telecomをはじめとする台湾のメンバからの多大な貢献に支えられたものです。改めて、感謝の意を表します。

IOWN Global Forumの活動状況

IOWN GFでは、FUTURESのほかにも対外的な連携の活動を加速しています。2024年8月には、LF(Linux Foundation)とIOWN GFが未来の通信インフラを実現するために、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)プロジェクトで協力を拡大することを発表しました(2)。両者は、LFのさまざまなオープンソースソフトウェアとともに、IOWN GFのVision 2030ロードマップに示されているIOWNのアーキテクチャの開発を加速します。関連した技術として、IOWN DCIにおけるGPU(Graphics Processing Unit)構成とDPU(Data Processing Unit)/IPU(Infrastructure Processing Unit)構成をサポートするKubernetes/OpenShiftコンテナプラットフォームを活用したPoCレポートを発表しており、リモートGPU推論AI(人工知能)サービスのためのGPUメモリへのセンサ画像データ収集をRDMA over APNで実現しました。またインフラが使用する電力をモニタ、制御する機能により消費電力を40%削減しました。これらの成果を2024年8月のCNCF KubeDay Japanでデモ展示を行ってIOWNが電力消費削減に貢献することをアピールしました。
さらに、2025年3月3〜6日に開催される世界最大の通信業界イベントであるMWC Barcelonaに初めてブースを出展するとともに、IOWN GFの幹部メンバを中心とした講演セッションを実施する予定です(3)。ブースではIOWNのプロダクトやそのプロダクトを適用したユースケースを展示し、セッションではIOWN GFの5年間の成果やデータセンタおよびモバイルなどのビジネスへのインパクトについて各社リーダシップから発表を予定しています。
これらの活発な活動を反映して、IOWN GFのメンバは増加しています。2024年度これまでの約半年間で、Google、Pegatron、ASEのスポンサーメンバ3社を含め、British Telecom、中部電力、Databricks、Dexerials、Enecom、Oishii Farm、Ribbon Communications、セイコーエプソン、清水建設、Supermicro、Wind River、Wiwynn、横河計測などの企業が新たに参画し、2024年11月末現在、世界中の157の企業・組織が加入しています。IOWN GFは、今後も新メンバの加入を勧めるとともにメンバ間で連携した活動を加速していきます。

■参考文献
(1) https://iowngf.org/press-releases/the-iown-global-forum-recognizes-ntts-open-apn-poc-project-as-its-2024-proof-of-concept-of-the-year/
(2) https://iowngf.org/press-releases/linux-foundation-and-the-iown-global-forum-extend-collaboration-in-cncf-projects/
(3) https://iowngf.org/event/mobile-world-congress-2025/

問い合わせ先

NTT研究企画部門 IOWN推進室
E-mail iown-info@ntt.com

DOI
クリップボードにコピーしました