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将来のデジタル社会を支えるネットワークの変革─ネットワーク基盤編─

ネットワークリソースの最適設計・制御技術

NTTネットワーク基盤技術研究所では、設備利用効率が高く、利便性の高いネットワークを実現することをめざし、さまざまな時間スケールで発生するネットワークの変化に柔軟に追従する技術の研究開発を行っています。本稿では、具体的な検討事例として、ネットワークの最適設計技術、クラウドネイティブSDx制御技術を紹介します。

奥田 兼三(おくだ けんぞう)/ 弘田 武志(ひろた たけし)/ 石塚 美加(いしづか みか)/ 金子 康晴(かねこ やすはる)/ 安川 正祥(やすかわ せいしょう)

NTTネットワーク基盤技術研究所

背景

NTT研究所では、5G・IoT(Internet of Things)本格時代を見据え、ネットワーク運用のさまざまな段階において発生する変化に柔軟に対応することが可能なアーキテクチャの具現化をめざし、技術検討を進めています。
本稿では、次の2つの技術について紹介します。
① ネットワークの最適設計技術:長期的な需要の変化に対応するために、実データに基づき設備投資の費用対効果を可視化し、最適な設備投資計画策定を支援する技術。
② クラウドネイティブSDx制御技術:短期的な需要の変動に対して、ネットワーク、クラウド環境等サービス提供に必要なリソースを最適に割当し、さまざまなパターンにわたる設定をワークフロー制御にて自動で行う技術。

ネットワークの最適設計技術

ネットワークの最適設計技術は、通信需要の増加等に伴う長期的(数カ月~数年程度)なネットワークの状態変化に対応して、最適な設備投資検討、装置の配備方針検討、ネットワークトポロジ検討を行う技術です。従来、これらの検討は、高いスキルと経験を持った運用者により行われてきました。しかしながら、今後の人口減少、社会の変化に対応した柔軟なネットワークを持続的に提供していくためには、これらをAI(人工知能)等のデータ分析技術により高度化、スキルレス化していくことが課題となってきます。
この課題を解決するために、NTT研究所では、実際の設備データを活用した①設備利用状況の変化の可視化・予測、②設備利用効率の改善ポイントの分析、③ネットワーク構成案と設備配備案の最適化の高度化・スキルレス化に取り組んでいます(図1)。
NTT R&Dフォーラム2018(秋)では、伝送網を対象に、最適設計技術のコンセプト、ならびに設備利用状況の変化の可視化・予測、設備利用効率の改善ポイントの分析について展示しました。

図1  ネットワークの最適計画技術

クラウドネイティブSDx制御技術

クラウドネイティブSDx制御技術はクラウドとネットワークを連携させたサービスの提供において、サービスの即時提供、保守運用の自動化を実現するための技術として次のような検討を進めています。①サービス提供のための資源(ネットワーク、クラウド上のリソース等)の制御を自動的に行う仕組み、②制御対象となるリソース情報を適切に管理する方法が必要となってきます。①の自動化の仕組みについてはクラウド上で利用されている技術を基に、ネットワークも含めて制御可能とするため、ネットワーク機能の仮想化技術(NFV: Network Functions Virtualization)やソフトウェアによるネットワーク制御技術(SDN: Software Defined Networking)等の技術を組み合わせることにより、ネットワーク、クラウド環境とサービスのためのアプリケーションまでを一連の操作で扱う仕組みを検討しています。またサービス提供のためのリソースとしては、物理的なもの(コンピュータやネットワーク機器)、仮想化されたもの(仮想コンピュータやソフトウェア化されたネットワーク機能)等、さまざまなものがあり、これらを連携させて制御するため、対象物をモデル化し、汎用的に扱えるようにすることでさまざまなサービスに柔軟に対応できるようにすることを検討しています(図2)。
NTT R&Dフォーラム2018(秋)では自動制御の仕組みとリソースの最適割当機能を組み合わせ、サービスの新規提供および故障といった状況に対応し、必要となるリソースの情報とその時点でのリソース状態に基づき最適なリソース割当を行い、割当結果に基づいて自動制御することにより、サービス新規提供時および故障対応におけるオペレーションの効率化について展示しました。

図2  クラウドネイティブSDx制御技術

今後の展開

今後の社会基盤を担うネットワークインフラの基盤を支える技術検討として、「ネットワークの最適設計技術」「クラウドネイティブSDx制御技術」について紹介しました。これらの技術は、ネットワークの設計・制御のDX化、AI化を推進し、ネットワークの状態変化に追随した投資、パス設計をスキルレスで行うことができるものです。将来的には5G/IoT本格時代の基盤技術となるよう、実証実験などを通じて技術の完成度を高めていく予定です。

(左から)金子 康晴/石塚 美加/奥田 兼三/弘田 武志/安川 正祥

NTT研究所ではクラウド・ネットワークが融合したさまざまなサービスを提供するために必要な技術の開発に取り組んでいきます。

問い合わせ先

NTTネットワーク基盤技術研究所
ネットワークアーキテクチャプロジェクト
TEL 0422-59-2684
FAX 0422-59-6364
E-mail seisyou.yasukawa.va@hco.ntt.co.jp