2018年11月に、NTT持株会社傘下に新たにグローバル持株会社NTT, Inc.を設立し、NTTコミュニケーションズ、Dimension Data、NTTデータ、NTTセキュリティ、NTT Innovation Institute, Inc.（NTTi3）をNTT、 Inc.の傘下へ移管しました。グローバルガバナンスを強化し、グローバル市場に精通した人材の知見や経験を迅速に同社のマネジメントに取り入れ、グローバル市場における競争力強化と収益性の向上をめざしています．また、2019年7月には、NTT Ltd.を設立し、“One NTT”で顧客ビジネスの進化と創造への取り組みを推進する体制を確立しました（図1）。
NTTグループでは、グローバルビジネスの競争力強化に向けて、顧客ビジネスの進化をサポートする取り組みと革新的創造への取り組みをかけ合わせた、“One NTT”のグローバルビジネス成長戦略を掲げています（図2）。

顧客ビジネスの進化をサポートする取り組みにおいては、顧客がビジネスを推進していくために必要不可欠なネットワークやデータセンタ、セキュリティ等をSoftware Defined技術を活用したIT as a Serviceとして展開します。また、これらのITサービスに加え、業界特化のアドバイザリやお客さまの価値に直結する成果提供型ソリューションをさまざまな業界で提供しています。さらに、グローバル調達会社を中心に、NTTグループのトータルの調達コストを削減しています。

これらの活動を通して、これまでNTTグループが培ってきた技術や、顧客との共創により生み出されたケイパビリティを統合ソリューションに発展させることで、Smart Worldの実現に貢献しています。2018年10月にはネバダ州、ラスベガス市、NTTがMOU（Memorandum of Understanding）を締結し、交通、公園、路肩監視等のさらなるユースケースの創造、ネバダ州各都市および米国他州の都市、さらにはグローバルの都市への展開について、合意しました。ラスベガス市との協業により、現場状況把握に優れた公共安全ソリューションを実現できたのは、イノベーションをワンストップで提供するフルITスタックや、「データ所有者は顧客である」というデータ活用に関するスタンスなど、NTTグループの価値を最大限に活用できたからです。

着実に顧客ビジネスの進化に貢献していくと同時に、全く新しいものを生み出す革新的な取り組みを加速するため、グローバルイノベーションファンド、革新的創造推進組織、海外研究拠点を設置しています。NTTグループ内でのシナジーや事業化をめざし、グローバルイノベーションファンドとして、2018年11月にNTT Venture Capitalを設立しました。NTT Venture Capitalを通して、グローバル市場で成長が見込めるテクノロジ領域を中心とした投資を順次実施しています。革新的創造推進組織であるNTT Disruptionは、AI、Robotics、Edge Computingなど最先端技術を活用して、顧客と新しい価値を共創します。特に、お客さまと技術の価値を確認するPoC（Proof of Concept）等を通じて、新しい技術の商用化をめざします。これらに加えて、海外研究拠点としてNTT Research, Inc. を設立し、世界をリードする革新的技術の研究を行っています。

グローバルでのさらなるプレゼンス向上を図るため、北米最高峰のモーターレース「NTTインディカー・シリーズ」では冠スポンサーとして協業を開始しました。また、米国の「メジャーリーグベースボール（MLB）」とはテクノロジパートナーシップ契約を締結、「ツール・ド・フランス」においてもオフィシャルテクノロジパートナーとして提携しています。こうした協業・提携を進める中で、最先端技術を活用した革新的なスポーツファン体験を実現するとともに、TV、Web等を通じてNTTのブランド向上も図り、グローバルでの競争力強化を図っていきます。
この「顧客ビジネスの進化をサポート」および「革新的創造への取り組み」の2つの取り組みを掛け合わせることで、人材・ブランディングと合わせて、One NTTでグローバルビジネスの競争力の強化と成長を加速していきます。