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2026年8月号

from IOWN Global Forum

IOWN Global Forum アニュアルメンバミーティング(シドニー)と活動の報告

IOWN Global Forum(IOWN GF)は、2026年4月14~17日に、オーストラリア・シドニーにて、アニュアルメンバミーティングを開催しました。世界各国から約250名のメンバが参加し、これまでの活動実績を振り返りつつ今後の活動に向けた計画やユースケース、技術検討について活発な議論がなされました。特に今回の会合では、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の技術的優位性に加えて、導入効果や経済価値の実証、さらにはビジネス展開の方向性に関する議論が進展した点が大きな特徴となりました。4月16日には、IOWN GFの公開イベントであるFUTURESも併催され、IOWN技術の重要性や展開について講演がありました。ここでは本会合の模様と合わせて最近の活動状況について報告します。

IOWN GF 2026年アニュアルメンバミーティング(シドニー)開催報告

IOWN Global Forum(IOWN GF)では、毎年4月に全メンバ向けの年次会合を開催し、年間活動実績の共有や貢献メンバへの表彰、およびSC(Steering Committee)/WG(Working Group)/TF(Task Force)のミーティングを実施しています。
今回、現地には世界の約70の会員企業・組織から250名以上の参加者を迎え(写真1)、オンライン参加者も加わって活発な議論が行われました。
オープニングプレナリーでは、President and Chairpersonの川添雄彦氏(NTT)がオープニングメッセージとして、フォーラムの成果に対するメンバの貢献に感謝の意を示しました。また、AI(人工知能)需要の増加を受けて、ネオクラウドと呼ばれる事業者が登場するなど、ネットワークやコンピューティング基盤に期待される要件に変化が起こっている点について言及し、このような新たな要件に対応するOpen APN(All-Photonics Network)アーキテクチャの重要性を訴えました。さらに、IOWN GFとOCP(Open Compute Project)が連携して新たに開始した「AI Computing Continuum」の取り組みに言及し、AI基盤の実現を加速するうえで、両組織が協力してAIコンピューティングの発展を推進していくことの重要性を強調しました。また、OCPのGeorge Tchaparian CEOからもAI Computing Continuumの考え方への賛同が示され、IOWN GFと協力してAI基盤インフラを実現することへの期待が述べられました。
基調講演では、Macquarie Asset ManagementのAni Satchcroft氏が、AccentureのJefferson Wang氏との対談において、データセンタ投資の観点から、オーストラリアにおけるAIによるデータセンタ需要の増加という課題について議論しました。また、その解決アプローチとして、IOWN GFがめざすAPNを活用した分散型データセンタ展開の有効性について講演しました。
続いて、NTT DATAの中澤里華氏は、オーストラリアにおけるNTT DATAの事業展開を説明するとともに、現地での実現が期待されるIOWNのユースケースの一例として、採掘現場での遠隔操作の取り組みを紹介し、IOWN GFのメンバとともにIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)を活用・展開していくことへの大きな期待を示しました。
また、今回のアニュアルメンバミーティングでは、任期満了となるIOWN GFのディレクターの選出結果発表があり、Per Beming氏(Ericsson)、Derrick Buckley氏(Microsoft)、Dr. Rong-Ruey Lee氏(Chunghwa Telecom)、Giovanni Manto氏(Nokia)、Chris Wright氏(Red Hat)の5名の再選が報告されました。さらに、IOWN GFの活動において卓越した貢献を寄せたメンバを表彰する年間表彰プログラムにおいて、PoCや技術検討の推進、外部団体との連携、外部へのプロモーションなどの取り組みを推進した計8名のメンバの表彰が行われました。
会合では、これらのほかに、WG/TFでのワークショップや分科会が行われました。そこでは、エネルギー効率、データセンタの相互接続、リファレンス実装モデルなど、最新のユースケースや業界へのインパクトに関するさまざまな議論が活発に行われました。なお、次回のメンバミーティングは2026年9月30日~10月3日に、オランダ・アムステルダムで開催される予定です。

FUTURESシドニー2026

2026年4月16日にアニュアルメンバミーティングに併催して、IOWN GFの一般公開イベントであるFUTURES シドニーが開催されました。FUTURESの目的は、IOWN GF外部も含めたIOWN関連技術関係者にIOWN技術開発やユースケース創出の状況・展開を伝えるとともに、メディアやアナリストをとおしてIOWN GFの取り組みの重要性やインパクトに対する認知を広げて、IOWNのエコシステムを拡大し普及を加速することです。
今回のFUTURES シドニーでは、フォーラムの重要な作業に関するプレゼンテーションやパネルディスカッションが行われました。
Marketing Steering CommitteeのGonzalo Camarillo氏(Ericsson)からのプレゼンテーションでは、IOWN GFは単なる標準化団体ではなく、実装モデルを策定する組織であり、技術検証(Proof of Concept)にとどまらず、価値検証(Proof of Value)、ビジネス実証(Proof of Business)の3段階を経て、市場への大規模な商用導入をめざすアプローチが示されました。
後半のパネルディスカッションでは、豪州で米国に関する政策研究などを行う研究機関であるUnited States Studies Centre(USSC)のOlivia Shen氏、豪州の大手通信事業者であるTPG TelecomのGiovanni Chiarelli氏らが加わり、マクロ経済や地政学、通信キャリアの視点を交えた議論が行われました。急増するAIデータセンタ需要の観点からは、電力網や土地の制約から、地方や新興国への分散が不可避となっていると示される一方、大規模データセンタの建設にあたっては、地域の電力・水資源の消費に対する住民や自治体からの懸念が高まっており、再生可能エネルギーの直接調達やIOWNの光電融合技術による抜本的な省電力化を進めることが重要であると示されました。また、キャリアの視点からは、高額な設備投資と、日々進化する先端技術を導入するリスクのバランスに言及し、これらを克服して信頼性の高いインフラを構築するためには、IOWN GFが推進するような業界横断的なコラボレーションが不可欠であると結ばれました。
またメンバ組織による技術展示も行われ、1Finity、KCCS、ITRI、NTT、Nokiaなどが光ネットワーク・コンピューティングに関する最新技術や取り組み事例を紹介しました。

IOWN Global Forumの活動状況

IOWN GFでは、FUTURESのほかにも対外的な連携を加速しています。IOWN GFは2025年11月にTrinity College DublinのCONNECTセンタおよびTelecom Infra Project(TIP)と提携し、APN機器のマルチベンダ制御等のライブデモンストレーションを実施しました。この取り組みは同月にアイルランド・ダブリンで開催されたFYUZ2025において、光ネットワークのオープン化と相互接続を実現する先進的な実証内容として展示ブースで紹介されました。
2026年3月にバルセロナで開催されたMWC26では、セッションおよび展示ブースの両面からAI時代を支える次世代インフラの取り組みを発信しました(写真2)。
Partner Programmesセッションでは、「Beyond Connectivity: From AI Ambition to Infrastructure Reality」と題し、Accenture、Ciena、Ericsson、Intel、KDDI、Microsoft、Northeastern University、NTT、NTTドコモ、Orange、NVIDIA、Red Hat、Sonyが登壇しました。本セッションはIOWN GFがめざす方向性やビジョンを示すとともに、ネオクラウド事業者の登場などによる分散型クラウド時代におけるインフラのあり方、さらにB5G/6Gに向けた国際連携とユースケース展開について議論が行われ、特にAPNによる低消費電力・低遅延・大容量通信が、AI時代の基盤として有効である点が示されました。
展示ブースでは、APNアーキテクチャを実装する機器やソリューションを展開するIOWN GFメンバ組織の協力のもと、APNアーキテクチャのジオラマ紹介や実機展示が行われました。また、APNを中核としたユースケースとして、リモートGPUによるAI学習の高度化や、金融分野におけるマルチデータセンタ連携、放送メディアや建設現場における遠隔操作の事例などが紹介されました。加えてETSIとの協力に関する調印式が行われ、標準化連携を通じたIOWN構想のグローバル展開に向けた重要な進展が示されました。
同月にロサンゼルスで開催されたOFC2026では、マルチドメイン・マルチベンダ環境において相互運用可能なOpen APNの実現性を示すデモが、IOWN GFのブースで行われました。また、IOWN GF技術ワーキンググループ議長である川島正久氏(NTT)が司会を務め、「IOWN Global Forum’s Vision for Future AI Networking: What Industry Collaboration is Needed for Scalable AI Cluster Networks?」と題したパネルセッションが開催されました。このパネルには、OCPおよびIOWN GFのプロジェクトメンバが登壇し、OCPとIOWN GFが効果的に相互補完する関係にあることで合意しました。IOWN GFでは、これら以外にもECOCなどの光通信分野における主要な国際会議やOCPやLinux Foundationなど外部団体と連携して対外的な情報発信にも積極的に取り組んでいます。
またIOWN GFは、IOWN技術の実装を促進するため、IOWN GFが公開するPoC Reference文書に基づいて開発されたPoCを認定するプログラムを実施しています。2026年に入ってからは、Remote Media Production in Broadcast Industry(1月)、Green Computing with Remote GPU for AI Training with Image Data(2月)およびGreen Computing with Remote GPU over APN(2月)の計3件のPoCが「Recognized PoC」として承認され、PoC Reportとして公開されました。
中でも、Remote Media Production in Broadcast IndustryのPoC Reportは経済的な観点からの適用可能性を評価するテクノ・エコノミクス分析の実施結果を含めており、より社会実装を想定した検討結果を報告するレポートとして発行されました。
これらの活発な活動を反映して、IOWN GFは新たなメンバを迎えています。2026年に入ってからは、Red Universitaria Nacional(REUNA)、Trinity College Dublin、Politecnico di Torino、National Yang Ming Chiao Tung University、Singapore University of Technology and Design、Airbus SASなどが新たに参画し、2026年5月末現在、世界中の約170の企業・組織が加入しています。IOWN GFは、今後も新メンバの加入を促進するとともにメンバ間で連携した活動を加速していきます。

■参考文献
(1)https://iowngf.org/iown-global-forum-and-open-compute-project-join-forces-to-deliver-on-the-next-wave-of-ai/
(2)https://www.opencompute.org/community/aicc
(3)https://iowngf.org/iown-global-forum-at-mwc-barcelona-2026-advancing-the-infrastructure-behind-the-ai-era/
(4)https://iowngf.org/iown-global-forum-at-fyuz-2025-accelerating-open-optical-networking-for-the-ai-era/
(5)https://iowngf.org/iown-global-forum-showcased-vision-for-future-ai-networking-at-ofc-2026/

NTT研究開発マーケティング本部
研究企画部門
IOWN推進室

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