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特集2

docomo business Forum'23開催報告

NTTコミュニケーションズが提供する自律型人材育成プラットフォーム

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)では、自律型人材育成プラットフォーム「BoostPark」のサービスリリースを行いました。このサービスでは、従業員のやりたいことに対し、ジョブ・学習がレコメンドされることによって、「自分のキャリアを自分らしくプロデュースする社会の実現」をめざします。本稿では、サービスリリースに先駆け、docomo business Forum’23(dbF’23)に出展した様子とBoostParkの詳細に加え、NTT Com全社導入のねらいや今後の構想について紹介します。

新高 勇飛(にいたか ゆうひ)
NTTコミュニケーションズ

はじめに

昨今、従業員の能力やスキルを最大限に活用して企業価値向上につなげる「人的資本経営」の重要性が認識されています。経済産業省が公表する「人材版伊藤レポート2.0」では、人材戦略に重要な要素として、リスキリング・学び直し、従業員エンゲージメントなどが挙げられており、企業はそうした環境にどのように適応し従業員体験(Employee Experience:EX)を向上させていくのか、経営課題の1つとなっています。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)にて2023年12月に新たにサービスリリースした「BoostPark」は、「ジョブのレコメンド」「学びのレコメンド」「人検索」という3つの領域に関して、各従業員にパーソナライズされた情報を提供し、最適なマッチングを実現することが可能となります(図1)。
例えば、現在営業を行っている社員が「将来人事業務をやってみたい・人事部に異動してみたい」と思っている場合、人事に関する社内のポストやプロジェクトがレコメンドされ、併せて人事に関する学習コンテンツがレコメンドされます。さらに、自身で人事関連の仕事に従事する社員を検索やブックマーク登録することが可能です。これらの機能によって、社内で気付かなかったような成長機会を発見することや、めざすキャリアに対するロールモデルを見つけることができると考えています。
サービスリリースに先駆け、docomo business Forum’23(dbF’23)の「従業員エクスペリエンス」のブースに出展しました。BoostParkのブースでは、応対数が2日間で200件を超え、大盛況の結果でした。
実際にご来場された社外のお客さまからは「コンセプトが新しい」「UIやデザインが社員に親しみやすい」「うちにもこういったものがあったら嬉しい」といったお声をいただきました。
特にBoostParkのコンセプトについては、お客さまからも良いフィードバックをいただきました。従来のHRサービスは「人事部が主語」のサービスが多く、人事部目線での社員管理およびキャリア形成を目的としたツールが多かったと認識しています。一方でBoostParkのコンセプトは、「社員主語」になるため、社員起点でのキャリア形成を重視しており、「上司と部下間」「人事部と社員」といった関係性だけでなく、社員が自ら機会を見つけることや、機会を見つけるきっかけを生み出す社員どうしの双方向コミュニケーションを大事にサービスの設計をしています。この点が最大の既存サービスと異なる点かつ、今回お客さまにご評価いただいていたポイントであると認識しています。

BoostParkの概要

従業員は最初に、「やってみたい仕事」や「興味関心ごと」「強化・克服したいこと」といった従業員の未来に関する意思表示や、「経験してきたこと」「得意分野・持ち味」といった現在・過去に関する経験を入力します。そうしたデータに基づいて、「未来の目標に近づくジョブ」「すぐに活躍できるジョブ」といったジョブのレコメンドや学習のレコメンドが提示されることで、最適なプロジェクトや公募情報、自分が今学ぶべきものを把握することができます(図2)。これによって、社内に点在するキャリア形成の機会が一元化され、自身のやりたい仕事を見つけるきっかけができます。さらに、ロールモデルとなる社内人材や、チャレンジしたいジョブに関連する人材を検索できる機能では、その人の学習履歴や経歴などを参考にすることができます。

BoostParkにおけるAIマッチング

従業員がBoostParkで「こんなことやってみたい、興味がある」「自分は◯◯が得意」など、直近の自分について入力いただいたデータやキャリアに関するフリーテキストデータと、ジョブや学習の募集要項のテキストデータを各々比較し、テキストの類似度からマッチングスコアを算出し、独自のしきい値を基にマッチング結果としておすすめ度を表示しています。
さらに、2024年度には、生成AI(NTT研究所の大規模言語モデル「tsuzumi」等)を活用しながらBoostParkを進化させていくことを検討しています。例えば、対話を通してBoostPark内に集約した社内のチャレンジ機会・成長機会を紹介することに加え、対話の中で得られた興味キーワードを使って「あなたはこんなことをやりたいのでは」という意思表示データ案を自動生成・提案することで、皆様のさらなるキャリア探索の後押しをアシストします。

BoostParkをNTT Com全社へ導入

BoostParkは業界業種問わず、「ジョブ型雇用」や「社員の自律型キャリア形成」「社員エンゲージメントの向上」等をテーマに取り組まれている大企業のお客さまを中心に外販をしていくことを想定しているため、NTT Comの従業員からフィードバックを得ることでプロダクトの品質を向上させる目的から、2023年11月から全社導入しています。BoostParkのサービスを企画するうえで、NTT Comヒューマンリソース部(HR部)も参加し、HR部の自律型人材育成のノウハウを活かしたサービスづくりを行っています。HR部では以前より「自律型人材の育成」に注力しており、「この会社で働き続けたい」と思える会社づくりをめざしています。図3に示すようなキャリア自律サイクルを独自に設定しており、このサイクル活性化の手段としてBoostParkを位置付けています。
例えば、Phase1における「自らのキャリアを考える機会・環境の提供」では、BoostParkによってさまざまな機会を見つけることで、自身のキャリアを考えるきっかけづくりができると想定しています。また、Phase2「自らキャリアを築くための学びや働き方の選択肢の提供」についても、ジョブや学習レコメンドによって自身の知らなかった選択肢を見つけることで寄与できます。このようにキャリア自律サイクルを回すための手段としてBoostParkは有効だと考えています。

おわりに

本稿では、NTT Comが新たに提供する自律型人材育成プラットフォーム「BoostPark」について紹介しました。リリースして間もないため、現在はPoC等を実施いただけるお客さまを探しているフェーズであり、できる限り社外のお客さまにご活用いただき、使用感等をフィードバックしていただきたいと考えています。今後は社内だけでなく、社外のお客さまへの提供はもちろん、外部パートナーとの連携も強めていきます。

新高 勇飛

BoostParkは2023年12月にリリースした新たなHRサービスです。先行で当社全社導入をしており、今後は社外に外販していきます。AIの高度化や外部パートナーとの協創によりさらに進化を遂げていく予定です。

問い合わせ先

NTTコミュニケーションズ
スマートワールドビジネス部
スマートエデュケーション推進室
E-mail boostpark@ntt.com

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