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2026年9月号

グループ企業探訪

第292回 株式会社 LIVE BOARD

Figure the Real World――インプレッションベースのDOOHで広告の新たなスタンダードを切り拓く

街中や駅、電車内、タクシーなど、あらゆる場所でデジタルサイネージ広告を目にする機会が増えています。こうしたデジタルサイネージ広告の国内市場は2025年に1100億円超が見込まれる一方、これまでOOH(屋外・交通広告:Out of Home)は「実際に誰が、どれだけ見たか」を可視化できないという効果測定指標の不在が、業界全体の長年の課題でした。これを、NTTドコモのビッグデータを用いた高度な分析技術で解決し、日本初のインプレッションに基づくDOOH(Digital Out of Home)広告取引を実現したのがLIVE BOARDです。DOOHをTV、デジタルに次ぐ広告プランニングの第3の柱として組み込む「トータルスクリーン・プランニング」を推進する田中淳泰社長に、事業の成り立ちから最新の取り組み、今後の展望まで伺いました。

LIVE BOARD
田中淳泰社長

TV、デジタルに次ぐ「第3の柱」へ─トータルスクリーン・プランニングで広告の未来を描く

■会社の設立経緯と事業の概要について教えてください。

LIVE BOARDは、プログラマティックDOOHの推進を目的として、2019年にNTTドコモと株式会社電通グループの合弁会社として設立されました。2024年からは株式会社博報堂も株主として参画しています。当社は日本で初めてインプレッション(広告の視認者数)に基づくDOOH広告取引を実現しました。また、自社の広告配信プラットフォームを通じて、他社が運用・管理するスクリーンも含め、全国6万スクリーン以上(2026年5月現在)への広告配信が可能な体制を整えています。
事業の柱は大きく3つです(図1)。まず、SSP(Supply Side Platform)およびDSP(Demand Side Platform)などの機能を含む広告配信プラットフォーム「LIVE BOARDマーケットプレイス」の運営。次に、自社で運用・管理する「LBオウンドメディア」の開発に加え、屋外・屋内・駅・電車内・空港・タクシー・バス停などパートナーが運用・管理する「LBパートナーメディア」との連携・接続を通じてネットワークを拡大し、デジタルOOH広告媒体の開拓を行っています。そして、これらLBオウンドメディアとLBパートナーメディアを網羅した、DOOHネットワークセールスを行っています。

■事業を取り巻く社会環境と業界が抱える課題についてお聞かせください。

近年、街中をはじめ、駅、電車内、空港、タクシー、バス停などでデジタルサイネージを活用した広告を目にする機会が増えているかと思います。こうした広告媒体は国内市場規模が2025年に1100億円を超える見込みで、順調な拡大を続けています。
一方、業界全体が長年にわたって抱えてきた課題がTVにおける視聴率のような「効果測定指標の不在」です。ポスターや看板といったOOHでは、「実際にどのような人が、どの程度見たのか」を把握することが難しく、そのため、付近の通行量や駅の乗降客数といった大まかなデータと経験則に基づいて出稿先を判断することが主流で、出稿後の効果測定も困難でした。
こうした課題に対し、LIVE BOARDはNTTドコモのビッグデータ等を用いた高度な分析によって解決の道を切り拓いてきました。具体的には、国際的な測定基準(OOHグローバルメジャメントガイドライン)の中でももっとも緻密にインプレッションを測定する指標である「VAC(Visibility Adjusted Contact:延べ広告視認者数)」を採用し、広告を実際に見た人数を可視化することで、インプレッション数に基づく広告取引を実現しています。加えて、性別・年代・趣味嗜好などのデータに基づき、ターゲット含有率の高いビジョンや時間帯などを指定した精度の高い広告配信も可能としています。また、2025年9月には業界横断の指標とデータ基盤の整備を目的に「一般社団法人 日本OOHメジャメント協会」が設立され、LIVE BOARDはこの設立時から参画しています。

■もっとも注力されている取り組みについて教えてください。

現在、私たちがもっとも力を入れているのが「トータルスクリーン・プランニング」の推進です(図2)。これは、広告出稿においてTV、デジタルだけでなく、DOOHにも出稿することで、広告効果を最大化するという取り組みです。LIVE BOARDは、DOOHが広告キャンペーン立案の初期段階からメディア配分されることが常態化する世界をめざしています。インターネット動画広告が急成長する一方、DOOHのシェアは動画(テレビ・デジタル・DOOH)市場全体のわずか4%にとどまっています。しかし、TVやスマホを「家の中や手元」で見る時間だけでなく、人々が「外を移動している」時間も重要な顧客接点です。これまでのTVとデジタルが主だった広告戦略にDOOHを第3の柱として組み込むことで、生活者のあらゆる行動シーンを網羅し、広告効果を大きく高めることができるため、今この手法が注目されています。
具体的な取り組みとして推進しているのが「Campaign Accelerator」です。これは、TVやデジタルの広告に第3の柱としてDOOHをスムーズに組み込めるようにするための「統合プランニング環境(共通の広告計画システムやツール)」を整備・構築する取り組みです。これまでバラバラに管理されていた各メディアのデータをつなぎ、広告主やプランナーが「もっとも効果的な広告の配分」を横断的にシミュレーション・実践できる環境づくりをめざしています。現在、電通・博報堂やその他代理店へのリーチデータの提供を進めるとともに、独自のシミュレーションツールの開発にも取り組んでいます。

■今後の展望についてお聞かせください。

トータルスクリーン・プランニングを推し進め、LIVE BOARDが主要広告主のプランニングに常時組み込まれるスタンダードな存在になることをめざしています。そのためにクライアントサービス部・メディア部・インサイト部・テック部・ストラテジー部の5部門が強固に連携し、NTTドコモなどの株主や広告主、広告代理店、DSP事業社、媒体社といった全ステークホルダを巻き込みながら取り組みを続けていきます。

担当者に聞く

共通指標を武器にリピートクライアントの仕組みをつくる

クライアントサービス部ディレクター
西中村 洋巳さん

■担当されている業務についてお聞かせください。

私が所属するクライアントサービス部は、営業案件の開拓・提案を担当しています。中でも現在、広告会社(代理店)やデジタル商流を起点とした「各予算(統合・OOH・デジタル)の獲得最大化」に注力しています。
これまでOOHは、他メディアと横断的に比較できる共通指標がなかったため、広告主のOOH予算以外から予算を獲得するのが難しい状況にありましたが、業界団体により共通メジャメント「日本版OOHメジャメントデータ」の計測が開始され、インプレッションベースでの取引が可能になることで、DOOHはデジタル広告と同列の選択肢として再定義され始めています。このようなインプレッションでPDCAが回せるOOH広告であることを代理店や広告主に訴求し、既存の予算以外からも出稿を獲得できるように取り組んでいます。
一方、長期・定期で出稿していただける顧客をさらに増やしていくことが業務上の課題です。これに対しては、業種やブランドごとに最適な「価値証明(広告効果の可視化)」を行い、リピートクライアントを組織的に創出し、成功事例を横展開していくことを基本方針としています。また、主要代理店の組織や営業局との連携を深め、企画立案の上流フェーズからLIVE BOARDをプランニングに組み込んでいただくよう働きかけることも重視しています。

■今後の展開についてもお聞かせください。

今後は、弊社でも共通メジャメントを活用していきます。DOOHがTV・デジタルと横並びでプランニングできる環境が整いつつある今、トータルスクリーン・プランニングの有用性を啓蒙していく方針です。さらに、NTTドコモのデータを活用し、主要代理店とともにターゲット分析やログ分析を検証し、その結果を対外的に発信していきます。
また、クライアントのKPIに沿った配信手法を開発・商品化するなど、メディアの新たな価値や販売方法の創出にも取り組みます。さらに、さまざまなイベントと連動したセールスなど新しい商流の開拓にも挑戦していく予定です。加えて、国内外資・海外の販路においても新規拡大とリピート獲得をめざし、ステークホルダとの連携強化や、海外イベント登壇・参加等を通じて当社のさらなる想起向上をめざします。

媒体開発とネットワーク拡大で「選ばれるプラットフォーム」へ

メディア部 マネージャー
佐藤 晃輝さん

■担当されている業務についてお聞かせください。

私が所属するメディア部は、魅力的な媒体開発・連携と円滑な配信オペレーションの実施を担当しています。中でも現在、2つのテーマに注力しています。
まず、LBオウンドメディアにおけるアイコニックな媒体の開発です。広告主や代理店に「出稿したい」と思っていただける、選ばれるスクリーンの開発に力を入れています。現在、GINZA GATE BOARDやAKIHABARA UDX BOARDといった都内主要エリアでの媒体開発を強化しているほか、工事中の仮囲いを活用したデジタルサイネージであるOMOTESANDO WALL BOARDの開発など、ユニークな取り組みにも着手しています。
次に、LBパートナーメディアとの接続強化です。屋外・屋内・駅・電車内・空港・タクシー・バス停といったさまざまな媒体社のメディアと接続し、LIVE BOARDマーケットプレイスから一括で広告配信ができる体制を整えており、重要なエリア・ロケーションにおけるインベントリ(広告在庫)の安定供給に向け、さらに多くの主要媒体との接続拡大に取り組んでいます。

■今後の展開についてもお聞かせください。

今後は、LBオウンドメディアの開発とLBパートナーメディアとの接続をさらに広げることで、LIVE BOARDのネットワーク拡大を継続していきます。併せて、さまざまなコンテンツとの連携による媒体の価値向上にも取り組んでいきます。LIVE BOARDはこれまで、大型スポーツコンテンツ、IP、アート、VTuberといった多彩なコンテンツと連携し、通りかかった方が見て楽しいと思っていただける媒体づくりを進めてきました。今後も、こうしたコンテンツや時報などのユニークな機能を掛け合わせることで、媒体の視認率向上と魅力発信をねらいます。

ア・ラ・カ・ル・ト

■多彩なバックグラウンドを持つ社員が集う、バーカウンターという名の交流場

LIVE BOARDのオフィスには、社内にバーカウンターが設けられているようです。NTTドコモ・電通・博報堂からの出向者をはじめ、さまざまなバックグラウンドを持つ社員が集い、定期的な懇親会や新入社員の歓迎会が開かれる、大切な交流の場になっているとのことです(写真)。スタンディングスタイルで集まることが多く、それがかえって立場や年齢を気にせずラフに話しやすい雰囲気を生み出しているようです。
社内の交流にとどまらず、社外の方との交流会がこのバーカウンターで開催されることもあり、訪れた方からは「うちの会社にもほしい!羨ましい!」という声が上がるほど好評で、会社を超えたつながりを生む場所にもなっているとのこと。また、有志によるUNO会やゲーム会などが企画されることもあり、社員どうし思い思いに趣味の時間を楽しむ雰囲気も根付いているようです。

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