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Focus on the News

ガラスやアクリル板越しに会話できる「ウインドウトーク」の開発

NTTは、音響信号処理技術により、自動車や建物の窓越しであっても、窓がないかのように会話ができる「ウインドウトーク」を開発しました。本技術を活用することで、窓を閉めたまま、感染リスクを抑えたコミュニケーションを実現します。2020年9月より、実証実験を実施し、早期の商品化をめざしていきます。

■背景・経緯

新型コロナウイルス感染症対策として、飛沫感染を防止するため、発熱外来等の医療現場や飲食店・商店等の現場において、ドライブスルーなどを活用したできるだけ互いに隔離した環境でのコミュニケーションニーズが高まっています。感染リスクを抑えるには、窓を完全に閉めたまま、会話することが望まれますが、音声が減衰するために、聞き取りづらくなることが課題でした。NTTでは、これまでの音響信号処理技術を活用し、簡易な機器構成で、窓越しに会話することを可能とする技術の開発に着手してきました。

■技術の概要

受話器型の機器を窓に押し当てることで、機器内蔵の振動素子(エキサイター)が窓を振動させ、機器に接続されたマイクで集音した話者音声を窓越しの相手に伝えます(図)。窓越しの相手の音声は機器内蔵の振動ピックアップ(マイク)により集音し、機器につながったイヤホンで聞くことができます。通常は、振動素子から振動ピックアップへ窓を直接伝搬するエコー振動が発生し、集音したい相手の音声以外のノイズとして混入するため、会話をすることが困難となります。本技術では、エコーキャンセラ技術を改良することで、エコー振動を音響信号処理により抑圧し、相手音声だけを通すことができ、窓越しの会話を可能としています。

図 ウインドウトーク技術の概要

■今後の展開

NTTはNTTグループ会社と9月より、利用シーンを見据えた実フィールドでの共同実証実験を行っています。2020年内に、NTTグループ会社からの商品化をめざしていきます。

問い合わせ先

NTTサービスイノベーション総合研究所
企画部広報担当
E-mail randd-ml@hco.ntt.co.jp
URL https://www.ntt.co.jp/news2020/2008/200806a.html

研究者紹介

究極の音環境をお客さまに提供することをめざして

鎌土 記良
NTTメディアインテリジェンス研究所
心理情報処理プロジェクト 意図理解技術グループ

NTTメディアインテリジェンス研究所では、音を通してさまざまなものを「つなげる」技術の研究開発を進めています。
ウインドウトークは、この厳しい情勢のもとでご尽力されている現場の方々の安全を確保しつつ、声の伝わりにくい窓越しでもお客さまと対話を通して「つながる」ことができる新しい技術です。
音に関する研究開発では、現場で生じるさまざまな音の問題について考慮しなければなりません。新型コロナウイルスの情勢下において、現場へ出向くことが難しく、現場での検証を最小限に抑えられるよう、綿密な計画を立てる必要がありました。そのような中、チームメンバ・パートナー企業一丸となって努力し、約半年というごく短期間での技術確立、実用化を成し遂げました。
世間ではニューノーマル、リモートワークをこれまで以上に活用した、新たな働き方が標準となりつつあります。このような働き方のもと、仕事を円滑に進めるためのコミュニケーションの維持、その改善はさまざまな理由で難しく、業務効率が下がってしまったという声を多く聞きます。私たちがウインドウトークで培った新たな働き方や、現在進めている音に関する技術の研究開発は、働き方によらない質の高いコミュニケーションを実現する手助けになると考えています。今後も、ワーク・ライフ双方の新たなあり方に寄り添った、音で「つながる」新たな技術の研究開発を通し、皆様の豊かな生活を実現する一助となれるよう頑張っていきます。