グローバルスタンダード最前線
ASTAP/WTSA-24地域準備会合参加報告
第35回ASTAP(Asia-Pacific Telecommunity Standardization Program)総会がタイ王国の首都バンコクのロイヤルオーキッド・シェラトン・ホテル&タワーズで、2023年4月17~20日の期間に開催され、翌日の21日には、第1回APT(Asia Pacific Telecommunity) WTSA(World Telecommunication Standardization Assembly)-24準備会合が開催されました。ここではそれぞれの会議の位置付けやそれぞれの主要な結果について報告します。
山本 浩司(やまもと ひろし)/長尾 慈郎(ながお じろう)
NTT研究企画部門
ASTAP概要
APT(Asia Pacific Telecommunity)はアジア・太平洋地域でのICT分野の開発を促進している国際機関であり、1979年に設立され、アジア・太平洋地域の38カ国が加盟しています(1)。
ASTAP(APT Standardization Program)はAPTにおいて標準化活動を推進している会議であり、1998年に発足しました(2)。主な目的は、①APT地域内の標準化における協力・協調体制を構築し、国際標準化に貢献すること、②APT地域内の標準化活動者を育成するとともに、地域内メンバー、特に開発途上国メンバーのICT分野のスキル開発を支援すること、③ITU(International Telecommunication Union)等の国際標準化機関へ地域標準化機関として共同提案を行うことなどです。APT地域での仲間づくりと開発途上国への貢献の場として、ASTAPを活用していくことは重要であり、日本における国際標準化活動の国際連携の戦略としても重要な課題の1つと考えられます。
第35回ASTAP総会がタイ王国の首都バンコクのロイヤルオーキッド・シェラトン・ホテル&タワーズで、2023年4月17~20日の期間に開催され、APT加盟国24カ国の主管庁、27名の賛助会員と7名の他の国際機関からの参加者を含め、現地での参加者123名 オンラインでの参加者を含め、計179名が参加しました。
■ASTAPの新マネジメント体制
ASTAP議長には、現職の韓国のHyoung Jun Kim氏(ETRI)が、副議長には中国のXiaoyu You氏(CAICT)と日本から岩田秀行氏(TTC)が二期目役職者として総会での指名承認を受けました。作業グループ(WG:Working Group)およびWG配下の専門家グループ(EG:Expert Group)の役職者では、日本からEG DRMRSの議長として荒木則幸氏(NTT)から今中秀郎氏(NICT)への交代とEG ISの議長として永沼美保氏(NEC)から武智洋氏(NEC)への交代が承認されました。表1に新マネジメント体制を示します。
■インダストリー・ワークショップ
ASTAP総会初日に、「AI、Metaverse、Open Source」をテーマとして、インダストリー・ワークショップが開催されました。日本からはAI(人工知能)セッションで楽天モバイルのLeon Wong 氏、MetaverseセッションでNICTの今中秀郎氏、Open SourceセッションでNTTの川島正久氏が講演を行うなどしました。表2にワークショップの講演一覧を示します。
■成果文書
プレナリー会合において、EGで議論され、その後WGで合意された17件の成果物の最終承認が行われました。
APT WTSA-24準備会合
ASTAP会合に引き続き、2023年4月21日にITU-T(ITU-Telecommunication Standardization sector)のWTSA(World Telecommunication Standardization Assembly)-24に向けた第1回のAPT準備会合が開催され、19カ国の主管庁から86名、12名の賛助会員と3つの国際機関から18名等、計127名(内39名オンライン)の参加者で実施されました。
APT WTSA-24準備会合は、WTSA-24(2024年10月 インド ニューデリー開催)に向けたAPT加盟国(38カ国)における準備会合として位置付けられていて、今会合では主にマネジメント体制の議論が行われ、日本からはプレナリー副議長にTTCの岩田氏、WG1(ITU-T作業方法)議長にNTTの山本、WG2(ITU-T組織構成)副議長にNEC永沼氏、WG3(規制/政策と標準化関連事項)副議長に指名承認を受けました。表3にAPT WTSA-24準備会合マネジメント体制を示します。
今後の予定
WTSA-24に向けAPTでは、合計5回の地域準備会合を計画しており、第2回準備会合は、2024年1月下旬にオンラインで開催される予定です。
■参考文献
(1) https://www.apt.int/
(2) https://www.apt.int/APTASTAP