特集
未知に挑む数学研究と夢
- 楕円曲線
- 数論
- 表現の既約分解
- フーリエ解析
- 量子ラビ模型
本特集では、2021年10月に発足した基礎数学研究センタの取り組みを紹介する。具体的な研究の紹介を通じて基礎数学の発展や夢、また物理学などの異分野とのつながり、さらには好奇心と自由な発想に基づき探究する基礎数学の考え方や展望を紹介する。
数論・代数幾何・表現論が紡ぐ数学の世界
NTT基礎数学研究センタでの研究の全体像を俯瞰し、中心的な研究領域である「数論力学系」「代数幾何・数論幾何」「表現論・保型形式」について紹介する。
力学系に現れる数論的課題
数論寄りの問題意識でみた数論力学系について、特に何らかの曲線の有理点の決定問題に関連する問題群について紹介する。
多様な数学が交差する複素力学系の世界──非アルキメデス的力学系の視点から
複素力学系を、整数論という全く異なる分野で生み出された非アルキメデス的数と呼ばれる数の理論を用いた研究について紹介する。
モチーフ理論──数・形・圏の織りなす抽象絵画
モチーフ理論の概要と、執筆者らによるモチーフ理論の一般化の試みについて紹介する。
行列式に始まる表現論と組合せ論
リー群の中でも行列の線型変換としての合成で積が定義されている行列のなす群、一般線型群の表現論の研究について紹介する。
対称性とリー群・リー環の表現論
線形空間の連続的な対称性を抽象化したリー群・リー環の表現の基本的かつ重要な具体例、および最新の研究について紹介する。
保型形式とフーリエ展開
保型形式の歴史を振り返りながら、表現論とフーリエ解析、保型形式のかかわり、現代の保型形式論の問題点について紹介する。
光と物質の相互作用とゼータ関数
光と物質の相互作用の背後に隠れる整数論的な構造を、多様な数学を基盤に相互作用の分配関数とスペクトルゼータ関数の特殊値に着目して紹介する。
主役登場 宮﨑 弘安 NTT基礎数学研究センタ
異なるものを「つなぐ」抽象化の力