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Event Reports

NTT Research, Inc. 開所式を開催

NTTおよびNTT Research, Inc.は、2019年7月8日に、米国パロアルト近郊にてNTT Research, Inc.の開所式を開催しました。ここでは、本開所式の開催模様を紹介します。

村元 厚之(むらもと あつゆき)

NTT研究企画部門

はじめに

NTT Research, Inc.の開所式では、NTTグループ各社のお客さまをはじめ、世界各国から学術関係者、ビジネスパートナー企業、アナリスト、メディア、米政府関係者など約280名のゲストにご出席いただき、2019年4月1日に設立したNTT Research, Inc.の今後の取り組みや新設した3つの研究所の概要を紹介しました(写真1、2)。

写真1 開所式

写真2 会場の様子

NTT代表取締役社長挨拶

澤田純NTT代表取締役社長は、「NTTグループは、“Your Value Partner”をビジョンに掲げ,さまざまなパートナーとの協業を通じて、グローバルにおいて社会的課題の解決をめざしていく。そのために、人材を中核に据え、社員の共有価値としてConnect(つなぐ)、Trust(信頼)、Integrity(誠実)を設定した。One NTTの実現に向けては、4つの取り組み(Full Stack/Advisory, Integrated Solutions IT as a Service, Disruptive Innovation, Next Generation Innovation)を推進しているが、Disruptive Innovationの取り組みの1つとしてNTT Research, Inc.を設立し、世界に変革をもたらす研究開発を推進するとともに, 海外拠点の基礎研究を強化していく。今回のシリコンバレーを機に, 今後はミュンヘンやボストン等にも拠点を広げていきたい」と冒頭で述べました(写真3)。
また、「NTTグループは、誰もが意識することなくテクノロジの恩恵を享受できるような“ナチュラル”な世界をめざしている。その実現のために、低消費電力、高品質・大容量、低遅延という特徴を持つ“オールフォトニクス・ネットワーク”、ヒト・モノのデジタルツインを合成することで新たな価値を創出する“デジタル・ツイン・コンピューティング”、さまざまなICTリソースの中から必要なものを最適に組み合わせ、一元的に設定管理する“コグニティブ・ファウンデーション”の3要素からなるIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を描いている」と次世代の構想にも言及し、大きな拍手の中でプレゼンの幕を閉じました。

写真3 澤田社長挨拶

NTT Research, Inc.代表取締役社長挨拶

五味和洋NTT Research, Inc.代表取締役社長は、NTT Research, Inc.のビジョンと3つの研究分野について説明しました(写真4)。
「NTTは、グローバルパートナー企業やグローバルな人材と協力し、グローバルな事業展開を急速に拡大しているため、その活動をR&Dの視点からサポートしていく必要がある。その起点はここシリコンバレーだ。NTT Research, Inc.には、すでに米国のトップ研究者がいる。そしてNTT R&Dとして日本の研究成果がある。加えてグローバルパートナー、これらを融合していくことがNTT Research, Inc.のアウトプットになっていく。そして大切なパートナーとより良い世界を共につくるために貢献していきたいと考えている」とNTT Research, Inc.のビジョンについて述べました。
次に、澤田社長の紹介したデジタル・ツイン・コンピューティングを例に挙げ、「その概念を人間に拡張したバイオ・デジタル・ツイン・コンピューティングが実現されるとしたら、サイバースペースにある自分の分身が近未来に何が起こるかがシミュレートでき、3週間以内に病気を発症するといったことが見つかるかもしれない。そういった革新を起こすための必要な技術として量子コンピューティング、セキュアコンピューティング、医療情報という領域に着目した」ということを挙げ、今回の3つの研究所の設立の趣旨を話しました。そして量子計算科学研究所の山本喜久所長、暗号情報理論研究所の岡本龍明所長、生体情報処理研究所の友池仁暢所長を紹介しました。
イノベーションポートフォリオとしてNTT Research, Inc.のほかに今回新たに海外に設立した組織の役割を、「NTT Disruptionでは近未来で市場を意識したショーケーシングやデジタルトランスフォーメーションに注力」、「NTT Venture Capitalではスタートアップの投資パートナーを探す」、「NTT Research, Inc.は基礎研究に注力していく」と説明し、最後に「会場の皆様とともに世界はきっと1つになる」というジョン・レノンのImagineの歌詞を引用して、開所式の挨拶を締めくくりました。

写真4 五味社長挨拶

ゲストからのご挨拶・演奏会

スタンフォード大学のKathryn Moler教授、NASA’s Ames Research Centerの Dr.Rupak Bizwas氏の招待講演を行い、NTT Research, Inc.の研究員であるスタンフォード大学教授のRobert L. Byer氏とテキサス大学教授からNTT Research, Inc.へ移籍したBrent Waters氏が講演を行いました。
講演終了後は、バイオリニスト 五嶋龍氏に特別演奏を披露いただき、開所式を大いに盛り上げていただきました。また、会場では、NTTの光イジングマシンLASOLV®や着るだけで生体情報を計測できるhitoe®の展示、暗号情報理論研究所や生体情報処理研究所の取り組みをパネル展示しました(写真5)。そして、歓談の時間では、ゲストの皆様との交流の場として大いに盛り上がりました。

写真5 会場展示の様子

おわりに

今回の開所式では、企業や学術関係者の幹部の方々に多数お越しいただき、今後のNTTグループへの多大なる期待を感じました。NTT Research, Inc.ではゲストの方々からいただいた貴重なご意見やご要望にこたえるべく研究開発を加速し、シリコンバレーからグローバル事業とグローバルパートナーを支え、より良い世界を共につくるため貢献していきます。

問い合わせ先

NTT研究企画部門
R&Dビジョン担当
TEL 03-6838-5355
E-mail atsuyuki.muramoto.pt@hco.ntt.co.jp