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6JUNE 2019vol.31

NTT技術ジャーナル 2019年6月号
発行日 2019年6月1日
(Web) ISSN 2758-7266 / (冊子) ISSN 0915-2318
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  • ITU-T SG5の体制と審議状況
    NTTグループは、電磁妨害波や雷サージから通信設備を防護するとともに、ICTによる気候変動への影響評価や持続的な発展が可能な循環型経済の問題に取り組み、通信サービスの信頼性向上ならびに事業活動に伴う環境負荷の低減に貢献するため、ITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合 電気通信標準化部門)において国際標準の作成に参画しています。ここでは、2018年9月に開催されたSG(Study Group)5会合における最新の審議動向を紹介します。
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  • 総務省受託研究「膨大な数の自律型モビリティシステムを支える多様な状況に応じた周波数有効利用技術の研究開発」の研究成果をヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2019に展示
    NTT、NTTドコモおよび㈱日立製作所は、2018年度より総務省受託研究「膨大な数の自律型モビリティシステムを支える多様な状況に応じた周波数有効利用技術の研究開発」を他の研究機関とともに受託し、2年間にわたり研究開発を進めてきました。この受託研究のうち、NTTは高速移動体エッジコンピューティング技術(課題ア)と大量異常トラフィック検知・判断技術(課題ウ)を、NTTドコモは高度地図データベースを効率的に配信する技術(課題イ)を、日立はネットワーク遮断・再接続技術(課題ウ)を受託し、それらについて目標とする周波数の利用効率向上に貢献する技術開発成果をあげました。そして、2019年1月24~26日に横須賀リサーチパーク(YRP)で開催された「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2019」において、上記の受託研究で開発した成果を統合し、クルマを中心とした自律型モビリティの公道走行を含むデモンストレーションおよびパネル展示を実施しました。
    ・課題ア:分散型のデータ処理等による高効率な通信処理技術(NTT*)
    ・課題イ:複数無線システムを用いた高度地図データベースの更新・配信技術(NTTドコモ*)
    ・課題ウ:大量の異常通信の検知・抑制による高信頼化技術(NTT、日立*)
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  • 「全光」で量子中継の原理検証実験に成功 ―― 究極の情報処理ネットワーク「量子インターネット」実現への第一歩
    大阪大学大学院基礎工学研究科の山本俊教授、生田力三助教の研究グループおよびNTTの東浩司主任研究員(特別研究員)の研究グループは、大阪大学の井元信之名誉教授、富山大学の玉木潔教授、トロント大学のホイ・クウォン ロウ教授らと協力して、地球規模の量子ネットワークを光デバイスだけで実現する全光量子中継方式を採用することで、量子中継の原理検証実験(図)に世界で初めて成功しました。
    現在のインターネットを支えるのは、世界規模で敷設されている光ファイバネットワークですが、長距離通信を影で支えているのが中継器です。このような通信デバイスすべてを光デバイスだけで実現しようとする試みは全光ネットワーク構想と呼ばれ、低消費電力で高速インターネットを実現するのに有望とされています。このような全光ネットワークの量子版「全光量子ネットワーク」は、現在の中継器を、全光量子中継器に切り替えることで実現可能で、その結果実現される「量子インターネット」は、現在のインターネットの粋を超える、全く新しい数多くの応用を持ちます。この全光量子中継は、従来の物質量子メモリに基づく量子中継とは一線を画す方式として2015年に理論提唱されましたが、その方式は、量子力学特有の性質である「量子もつれ」によって初めて可能となる「時間反転」という、全く新しい原理に基づいていたため、この原理を実証することが、全光量子中継実現の要であり、量子インターネット実現の最初の大きな一歩とされていました。
    今回、山本教授らの研究グループは、NTT、富山大学、トロント大学の理論研究グループと協力し、この全光量子中継の中核のアイデア「時間反転」の実証に成功しました。これにより、全光量子中継の原理は検証されたことになります。
    今回の成果により、全光量子中継実現に残された課題は、損失のない集積光学回路と量子もつれ光源の研究開発だけとなり、これらの光デバイス開発に基づく全光量子中継の実現、あるいはそれに基づく地球規模の全光量子インターネット実現に重要な道筋を示しました。それと同時に、今回の実験は(全光方式だけでなく、物質量子メモリに基づく従来方式も含めた)すべての量子中継方式に共通して必要となる「適応ベル測定」の原理検証実験としても史上初で、全光方式が従来方式に比べ、実現性という観点で一歩リードしたことを示しています。
    なお、本研究は、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「量子状態の高度な制御に基づく革新的量子技術基盤の創出」研究領域における研究課題「グローバル量子ネットワーク」(研究代表者:井元信之)の一環として行われました。また、本研究は、文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究(A)、新学術領域研究、大阪大学大学院基礎工学研究科附属未来研究推進センターの支援により行われました。
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  • 最高の強磁性転移温度を持つ新絶縁物質Sr3OsO6を創製 ―― 88年ぶりに記録を更新
    NTT物性科学基礎研究所では、電気を通さない物質(絶縁体)の中で、最高の温度(780 ℃以上)で磁石としての性質(強磁性)を示す新物質Sr3OsO6〔Sr(ストロンチウム)、Os(オスミウム)、O(酸素)からなる物質〕を世界で初めて合成・発見し、磁性発現の起源となる電子状態を、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 常行真司教授らの研究グループと共同で明らかにしました(1)。
    今回合成した物質は、88年ぶりに絶縁体の強磁性転移温度(キュリー温度)を更新するもので、長年の磁性材料研究の歴史を塗り替える成果です。この新物質の発見により、高い温度で強磁性が発現するメカニズムに関する基礎科学的な知見が得られました。また、現存する高温磁性材料のほとんどに鉄やコバルトが含まれるのに対し、新物質はこれらの元素を含まないため、磁性材料の開発に新機軸をもたらすと考えられます。さらに、Sr3OsO6は、素子化に適した単結晶薄膜の形で合成されました。そのため、室温~250 ℃程度の実用的な温度で安定に動作する、磁気ランダムアクセスメモリや磁気センサといった高機能磁気素子の開発につながるものと期待されます。
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  • Deakin University、Western Sydney UniversityとDimension Data Australia、NTT、イノベーションの加速に向けMOUを締結
    Deakin University、Western Sydney University、Dimension Data Australia、NTTは、日豪共通の課題の解決に向けてコ・イノベーションを推進していくためのMemorandum of Understanding(MOU)を締結しました。4者はまず、「高齢者が健康で自立し、安全な生活を送ることのできる社会」をビジョンとして設定し、高齢者の生活、健康および福祉の向上を目的とする革新的な解決策を創出し、それらを社会に実装するための協働を開始します。NTTが海外の研究機関とこのようにビジョンを共有したパートナーシップを締結することは初めてのことです。
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